#373 ご飯入り食パンレシピ・・・つぶつぶ感をなくするための一工夫

最近よく耳にする「ご飯入り食パン(以下ご飯パンと言います)」なるものをHB(ホームベーカリー)で焼いてみました。そもそもご飯パンとは、何かというと材料である小麦粉の一部を、「ご飯」で代替して焼いた食パンということです。具体的にはHB(ホームベーカリー)1斤用であれば強力粉250gが標準ですが、これを強力粉200g+ご飯100gといった配合に変更してパンを焼きます。もちろんこれは一例ですので、ご飯の量はお好みに応じて変更が可能です。基本的なレシピは食パンレシピ&Tipsをどうぞ。

ところでお米を炊いてご飯にすると、重さで約2.3倍になるそうです。つまり「ご飯100g =米43g+水57g」ということになりますが、まあ大雑把に言うと、米と水が半分ずつです。よって強力粉200g、ごはん100g、水150ccという配合は強力粉200g、米粉50g、水200cc、みたいな感じになります。強力粉だけのレシピと比べると、水が多いのは、米粉でんぷんの吸水力が小麦粉のそれよりも、大きいからだと考えます。

ご飯食パンとよく似たものに米粉パンがあります。これは強力粉の一部を、米粉で代替するもので、米粉を入れることによって、食パンがもっちりします。ただ米粉を使用する難点は、米粉価格が高いこと、そして米粉の割合を増やすと、相対的にグルテンの量が減るので、別途グルテンを追加する必要があることです。パン生地は、アルコール発酵によって二酸化炭素を発生し、それによって膨れますが、グルテン量が十分でないとその膨れた生地を支え切れないので、また縮んでしまいます。その結果、フワフワしたパンではなく、硬い食感のパンになってしまいます。よってふんわりとしたパンに焼きあげるには、十分な量のグルテンが不可欠です。

米粉は、わざわざ買いにいかないと手に入りませんが、「ご飯」ならどこの家庭にもあると思います。それも余ったご飯を使えばいいので、とっても使い勝手が良いと言えます。下は普通のレシピと、ご飯パン2種の画像です。ご飯パンは、ご飯をそのまま投入するので、ご飯粒の一部がそのままパンの中に残ります。実際、右端の画像は表面に茶色いつぶつぶが見えていますが、これがご飯粒です。独自の「ご飯食パンレシピ」を教えてくれた北九州市の風間さんは、このつぶつぶが食べるときに硬く感じるので、予めご飯をお湯につけて、ふやかすそうです。こうすることで、このつぶつぶ感がなくなり、ずっと食べやすくなるそうです。

②と③は、①と比べて背丈は若干低いものの、そのソフトなもっちり感と、米でんぷんのほのかな甘味は、なるほどご飯パンであることを実感します。しかも③は、ご飯粒の「コツコツ感」が感じられるのに対し、②はなめらかで、そしてふんわりとしたご飯パンで、確かに「ふやかした」効果が実感できます。よってご飯パンの「つぶつぶ感」が気になる方は、一手間増えますが、ぜひふやかしてからパンを焼いてみてください。

またご飯を「ふやかす」方法についてですが、風間さんのレシピでは、お湯につけます。理由はお湯の方がふやけるのが早いからです。ただHBを使用していると、夏場には温度が上がりすぎることが原因で、うまく膨らまないことがあります(夏場は冷水を使用くださいと、注意書きがあるのはこのためです)。ですから、夏場になると、ふやかすのは、お湯よりもお水を使用する方がいいかも知れません。最後に復習を兼ねてご飯パンの特長を挙げてみました。

【ご飯入り食パンの特長】
①余りもののご飯が利用できるので、簡単便利。
②米粉よりも安いので経済的。
③ふんわり、もっちり、またお米でんぷんの甘味が感じられる。