2013年4月のお知らせ

突然、雨が降ってきました。降りしきる雨の中を、自転車で家路を急ぐ高校生。澄んだ空気の中から、「春のかおり」が流れてきます。やさしい「春の雨」です。

女優オードリー・ヘップバーン主演の映画「ティファニーで朝食を」を観ましたか? 静かな早朝、ホーリー役のヘップバーンが、パーティ後のイブニング・ドレスのままで、ティファニー(高級宝石店)の前に立ち、紙袋からパン(?)を取り出して、朝食を食べるシーンから始まります。映画の中でホーリーは、売れない作家ポールとともに、ニュー・ヨーク公共図書館へ行き、「ポールの書いた本」の閲覧・宣伝を求めます。そして、ポールに(図書館所蔵のポールの書いた)本にサインをさせます。「図書館の本は、公共の財産ですよ」と注意をされますが、2人は楽しそうに図書館を出ていきます。

相棒の喜多さんの希望で、このニュー・ヨーク公共図書館を訪ねました。1911年に本館が竣工され、蔵書数は460万冊に及びます。正面玄関前に、(三越デパートの前にあるような)大きな二つのライオン像が人々を迎えます。1930年代の世界恐慌時に、このライオンに「忍耐」と「不屈の精神」という愛称が付けられました。当時のN.Y.市民に、これら二つの資質が必要だったためと、言われています(現代においても、この二つの資質は大切だと思います)。入口で手荷物検査を受け、館内に入りました。天井が高く、大きな机が、いくつも配置されています。長い年月を経て、机は「いぶし銀」のように輝いています。

シャンデリアから溢れる柔らかい光が、落ち着いた雰囲気を作りだし、騒音にあふれた館外と対照的です。たくさんの人たちが、静かに時間を過ごしています。何の本を読んでいるのでしょう。何を調べているのでしょう。インター・ネットが普及して、瞬時に必要な情報を得る時代になりました。でも、図書館が積み重ねてきた長い歴史の雰囲気は、何よりも貴重です。館内の静けさのあまり、カメラのシャッター音に緊張しました。「図書館は心の拠りどころである」ことに気付いた「ひととき」でした。歩きながら、人々を眺めながら、「N.Y.の魅力って何だろう・・」と自問します。世界中から人々が集まり、其々の文化を尊重しながら、共生している街。お互いの個性を刺激しあいながら、自分独自の個性を育てていく街。N.Y.の魅力は、「人々が創り出す個性の集まり」だと、ふと思いました。

さあ、日本へ帰る日がきました。飛行機の搭乗口で、たくさんの高齢の方を見かけました。車椅子に座っている方、杖で支えて歩いている方。アメリカの高齢者の方は、たいへん行動的。私も彼らのような人生を送りたいと、勇気づけられました。偶然にも、サーシャ(Sasha)と話す機会に恵まれ、「ヤング・ハート・コーラス」という音楽グループの公演のために、日本へ向かっているとのことでした。

団員となるために特別な資格は必要ありません。72歳以上の方で、音楽が好きな人であれば・・。解りました!!搭乗口で見かけた高齢者の方たちは団員の方です。成田空港に到着前の機内で、一人の女性が「私、今日が誕生日。いま、仲間たちからバース・デイ・カードを頂いたばかりなの。88歳になったのよ」と、カードを見せてくれました。子どものような「きらきら」した目の表情が印象的でした。

4月のお休みは 13日(土曜日)、29日(昭和の日)
そして日曜日です。

 

小雨の中、ジョギングをしている人を見かけました。ゆっくりと、黙々と走っています。N.Y.公共図書館前の二つのライオンの愛称を思い出しました。おからだ 大切になさってください。

木下製粉株式会社  平成25年4月1日