2013年3月のお知らせ

雪混じりの風が吹く日は、気持ちも寒く感じます。ひっそりとした旧街道にある「和菓子店」の扉を開けると、5段飾りの「お雛さま」が迎えてくれました。思いがけない「弥生の季節」の訪れに、私の心はやさしい、そして暖かい空気に包まれました。
ニューヨーク道中膝栗毛の続編です。ニューヨークの街の中央にある、ペンシルバニア駅から、「アムトラック Amtrak」という長距離列車が発着しています。北東方向に位置するボストン行きの発車は、30分前に乗車ホームが表示され、乗客たちは一斉に乗り込みます。日本の新幹線に比べると、座席は狭く、ゆっくりと走ります。車窓からの風景は、人々の日常生活が垣間見られ、興味深いものでした。たとえば、田舎の道路の信号機は、電線から吊り下げられ、緑赤黄の信号は、「縦」に並んでいます。隣の家との間には、広い芝生の庭が広がります(境界線なんて、あるのでしょうか?)。アメリカの国土が広い事を実感します。

4時間ほどの列車の旅。「ボスト~ン!!」と車内放送が聞こえます。30年ぶりに訪ねる私にとって、懐かしい響きです。ボストンの街は、北海道とほぼ同じ緯度に位置し、約60万人の人たちが住んでいます。100を超える単科・総合大学があり、25万人の学生たちが学んでいるそうです。近郊には第35代大統領、J.F.ケネディの生家があり、近年では松坂大輔投手が、野球チーム、ボストン・レッド・ソックスで活躍し、馴染み深い街となりました。
1620年、清教徒たちはイギリスからメイフラワー号に乗り、信仰の自由を求め、新天地アメリカに旅立ちました。66日間の航海の後、ボストン郊外の「プリマス」という町に移住。先住民のインディアンたちは、清教徒たちにプリマスの風土に適した生活・漁や狩猟・農作物の栽培方法などを教えます。清教徒たちは「新天地で、初めての冬」を越し、インディアンを招待して神の恵みに感謝します。11月の第4木曜日に行われる「感謝祭」の始まりです。感謝祭のメニューは、七面鳥の丸焼き・かぼちゃのパイなど、開拓当時の食事を頂きます。

小学生の頃、私にとって「アメリカ合衆国」は遠い国でした。日本語に吹き替えされた番組「ルーシー・ショー」「奥さまは魔女」を見ながら、たくさんの「夢」が膨らんでいった事を憶えています。同時に、ひとつの疑問を持ちました。「日本人は、みんな黒い瞳と黒い髪をしているのに、アメリカ人は、なぜ、瞳の色や髪の色が異なるのだろう?」。中学校の歴史の時間に、メイフラワー号の話を聞き、私の謎は解けました。ボストンは「アメリカ発祥の地」と言われ、ヨーロッパの雰囲気を色濃く残す赤煉瓦の建物が並びます。じゃが芋や貝がはいった「クリーム・チャウダー・スープ」を頂きました。心も体も温かくなります。

乗合タクシーに乗ったときの事です。後部座席に、3歳と6歳くらいの子どもが坐っています。(かわいいお客様だな~と思っていると)運転手さんは、「私の子供たちだよ。今日、学校は祭日続きでお休み。子供だけを家に残しておく事は、法律で禁じられています。守らないと僕は刑務所に連行される。ごめんなさいね」。「いえいえ、子どもたちが父親の働く姿を見る事は、大切ですよ」。「旅」は日常生活と異なった人々・空間に出会います。「大切な思い出を、日常生活の中に役立てよう」という想いを、「旅」は与えてくれます。

3月のお休みは 20日(春分の日)、30日(土曜日)
そして日曜日です。

今回の旅のおわりに、思いがけない出会いがありました。「何って!?」来月、お話ししましょう。音楽にまつわるお話です。おからだ、大切になさって下さい。

木下製粉株式会社  平成25年3月1日