2013年2月のお知らせ

12月30日は、朝から雨が降っていました。近所の神社の鳥居は松の木が飾られ、静かに新年の訪れを待っていました。朝靄の中で、雨の滴が「きらきら」と光り、迎春をお祝いしているかのようです。

弥次さん・喜多さんニュー・ヨーク道中膝栗毛の続編です。ニュー・ヨークのマンハッタン島は、東京山手線の内側ほどの大きさ。中央に南北4km、東西に0.8kmのセントラル公園があります。地図を眺めると、早くから都市計画が考えられていた事に驚きます。

1853年、市は農地を買い上げ、20年の歳月をかけて公園を完成しました。1866年、パリで7月4日のアメリカ独立記念日を祝うために集まったアメリカ人たちの会合の席で、美術館の構想が提案されました。基金やコレクターからの寄贈により1870年、メトロポリタン美術館は公園の東側に開館しました。ギリシャ神殿の円柱を思わせる、壮大な外観。約300万点の収蔵品の中から、常時10万点の美術品が紹介されています。美術館の特色は、時代・地域・文明など収集の幅が広い事です。

驚いたことが二つあります。私立の美術館であり、入館料は「希望額」とのみ表示されています。「多くの人々が、たくさんの文化に触れてもらいたい」という意図が伝わってきます。入館料を支払うと、‘M’と記された円い「缶バッジ」を頂きます(1日ごとにバッジの色は変わるようです)。胸元に付けておき、1日中、美術館を自由に出入りできます。広くて、迷子になりそうです。「アメリカという国の規模の大きさ」を実感しました。メトロポリタン美術館とは対照的に、ニュー・ヨーク近代美術館(MOMA)は、独創的で楽しめる芸術作品を展示しています。

例えば、漫画・絵画・写真・家具・ヘリコプターなど。(小学校の教室にあるような)机と椅子は、私の背丈の3倍ほどの高さ。遊び心があり、実際に座る事ができます。まるで、「ガリバーの国」に来たみたいです。2004年、増築計画に伴う国際建築コンペにより、日本人建築家、谷口吉生のデザインが採用されました。中庭から見ると、新館の側面はガラス張りです。

実は、谷口吉生の設計による美術館が、香川県に二つあります。ご存知でしょうか!? 丸亀市の猪熊弦一郎美術館と坂出市の東山魁夷せとうち美術館です。小さな美術館ですが、MOMAに劣らない、個性的な魅力に満ちた美術館だと思います。ホット・ドッグを食べて、エネルギーを補給。美術館巡りは体力勝負です。マンハッタン島の南に位置するワシントン広場あたりは、古き良き時代を感じるお店が多くあります。相棒の喜多さんは、中古レコード屋さんでマイケル・ジャクソンのレコードを買い、私は古着屋さんでジャケットを購入しました。偶然にも経営者は日本人女性。「私、27年前にニュー・ヨークに来ました」。

「それは、良い時代に来られましたね。N.Y.は、ここ10年の間にずいぶん変わりましたよ」と。短い会話でしたが、その言葉が印象に残りました。楽しみにしていたジャズ・クラブ、ブルー・ノートでの生演奏。小さなクラブで、演奏者と客席は隣り合わせ。演奏者の熱い心意気と、観客の熱い想いに刺激を受けました。「ジャズは、白人と黒人が協力して生活するために作られた音楽だ」という言葉を思い出します。「日本人の方ですか?」と話しかけられました。「僕の父は日本人で、5歳の頃、ブラジルに来ました。だから、僕の中に日本人の心が半分、住んでいます」。「日本に住んでいる、私の90歳過ぎの義叔母も、10代の頃、ブラジルで住んでいましたよ」。人混みの中に消えていくご夫婦の後ろ姿を見ながら、私達を見かけ、日本の国を思い出して下さった。心あたたまる夜でした。

2月のお休みは 11日(建国記念の日)、23日(土曜日)
そして日曜日です。

 

もうすぐ「立春」です。春の訪れが待ち遠しいですね。おからだ 大切になさって下さい。

木下製粉株式会社  平成25年2月1日