2010年1月のお知らせ

新年明けまして おめでとう ございます!!

2010年「寅年」が動き始めました。私にとって{寅とら}という響きは、「親しみ」があり、同時に「緊張」を感じる響きです。先代社長の名前が「虎七」だからです。「人々に対して、礼儀と信義の気持ちを持って、尽くさなければならない!」といつも言っていました。明治生まれ。社員に対しては優しい眼差しを注ぎながら、厳しい人でした。ときおり、現社長の「くしゃみ」をする音が先代社長に似ているので、思わず笑ってしまいます。

ラジオからピアノの旋律が流れてきました。たいへん優しく、穏やかな音色。ピアニストは舘野泉(たてのいずみ、1936年生まれ)さん。「左手だけの演奏 命の呼吸」と題された新聞記事(2004年)を思い出しました。2002年1月、舘野泉さんはフィンランドで、デビュー40周年の記念演奏会で脳出血のために倒れました。右半身不随。体の半分が凍り付いてしまったように動きがとれません。空気のようにピアノと生活してきた60年の歳月。まるで息のできないような無為な日々が続きました。ある日、息子さんが「楽譜」を贈りました。イギリスの作曲家ブリッジの「三つのインプロヴィゼーション」という作品で、左手のための楽譜でした。

舘野さんは弾いてみました。「ゆったりとした海のうねりを思わせる素晴らしい作品。自分が命を取り戻して呼吸をしているようだ」と感じました。積極的に「左手のための作品」を探し始めました。80曲もあり驚きました。「作品はどれも立派で、内容も技術的な面も両手の曲に負けない。なのに、なぜ、日陰に咲く花のように目立たず、知られていないのだろうか・・! それは、演奏する側と、それを享受する側、双方に問題があると思う。演奏者は身の不自由さを見せたくないし、聴く方は、ピアノは両手で演奏するものだから内容は2分の1だと思っている。一方は目につかないように、もう一方は見ようとしない。だから結局、何も見えてこない」と記事の中に書かれてありました。舘野さんは左手のみで演奏してみて、音楽の大切な要素がより鮮明に響くこと、それが左手の音楽の大きな魅力であることに、気づきました。

11月、丸亀市民会館で「舘野泉」さんのピアノ・リサイタルを聴きました。ピアノの鍵盤は88本。通常、左手で(ピアノの左側の)低音部の和音を弾き、右手で高音部の旋律を、同時に弾きます。舘野さんは低音部の和音を弾くと(ペダルを踏み、低音部の音の響きを続けながら)、高音部の旋律を弾きます。ひとつひとつの音が温かく深みのある音色。ゆったりとスケールの大きさを感じました。時おり、曲について説明されます。おだやかな声、話される表情、からだ全体からあふれる温かな仕草・・舘野さんが歩んでこられた人生が、ピアノの音に感じられるコンサートでした。友人たちと「心が温かくなるコンサートだったね・・」と話しながら、会場を後にしました。「人生を積極的に肯定する情熱がない限り、歌は生まれないだろう・・」舘野さんの好きな言葉だそうです。

1月のお休みは 1~4(年始のお休み)、11(成人の日)、30(土曜日)
   それと日曜日です。

久しぶりに暖かい朝・・「うっすら」と霧がかかっています。会社近くの五色台の山々は、牛乳ビンの中にはいったみたいです。2010年、皆さまにとって健康で楽しい一年でありますように・・。おからだ大切になさってください。

木下製粉株式会社会社  平成20年元旦