2007年2月のお知らせ

仕事前に、久しぶりにウォーキングに出かけました。みどり色の草花がうっすらと「白く」なっています。そう・・・「朝霜」が降りていました。

数学者であり作家である藤原正彦(ふじわらまさひこ)さんは、昭和18年に満州で生まれました。当時26歳だった母親は、3人の子どもの手を引いて昭和20年8月、「着の身着のまま」で日本へ帰られたそうです。もちろん引き揚げへの道のりの記憶はまったくありません。でも、お母様に引きずられながら山を歩いたときの傷は今も残っています。藤原さんは「母親の根性の強さ」を感じます。 藤原さんから、若い人達へのメッセージです。

「人類が誇れる文化を生んだ日本」新年おめでとう。君にとって日本そして世界にとって、よい年になるように祈っております。わが国の治安は大変 悪くなっています。道徳心の方も低下しました。法律には「嘘をついてはいけません」、「卑怯なことをしてはいけません」、「年寄りや身体の不自由な人をいたわりなさい」、「目上の人にきちんと挨拶しなさい」など、「してはいけないこと」は書いていません。

これらは、すべて道徳なのです。人間のあらゆる行動を法律のみで規制することは不可能です。法律とは「網の目」のようなもので、どんなに網目を細かくしても必ず隙間があります。だから道徳があるのです。六法全書が厚く弁護士の多い国は恥ずべき国家です。法律は最小限で、人々が道徳や倫理により自らの行動を自己規制する国が高尚な国です。わが国はもともと、そのような国だったのです。

君の生まれたころ、いじめによる自殺はほとんどありませんでした。大勢で1人をいじめるような卑怯(ひきょう)なことを憎むところがあったからです。君の生まれたころ、リストラに脅かされながら働くような人はほとんどいませんでした。会社への忠誠心とそれに引き換えに終身雇用というものがあったからです。不安なく穏やかな心で皆が頑張り、繁栄を築いてきました。日本人は忠誠心や恩義などの心情で奮い立つ民族です。ここ10年余り市場原理などによる株主中心主義・成果主義により、日本人の特性(良さ)を忘れてきました。

なぜこのように、何もかもうまくいかなくなったのでしょうか。日本人が祖国への誇りや自身を失ったからです。それらを失うと、自分たちの誇るべき特性や伝統を忘れ、他の国のものを気軽にまねてしまうからです。どの国も、どの人間も歴史に恥ずべき部分があります。しかし、この事ばかり思いだしていると、未来を拓(ひら)く力は湧いてきません。テレビを消して読書に向かいましょう。日本が生んだ物語・名作・詩歌に触れ、独自の文化や芸術に接することです。上質な文化を生んできた先人や国に対して、敬意と誇りが湧いてくるはずです。君たちの父母や祖父母の果たせなかった、珠玉の国家の再生は、君たちの肩にかかっているのです。

藤原さんは父親の年齢に近づき、父親の思いがようやく、くみ取れるようになった気がするとおっしゃっています。私自身、幼いころ、心に留めていなかった「両親からの言葉」が、毎日の仕事・生活の基本になっていることに気づきました。そして年齢を経るにつれて、「その年齢になって初めて、理解できる事柄がある」ことにも気づきました。

2月のお休みは 12日(建国記念日)、24日(土曜日)
   それと日曜日です。

バレンタイン・デーの季節がきました。かわいい箱に包まれたチョコレート。見ているだけで、心が温かくなってきます。お体、大切になさって下さい。

木下製粉株式会社会社  平成19年2月1日