2005年8月のお知らせ

夏休みがはじまりました。朝6時ごろ、小さなカードを持った子どもたちが神社の境内に集まっていました。そう・・・ラジオ体操です。「蝉せみ」の声もいちだんと大きくなります。

1970年6月17日。長く降り続いた雨がようやく上がり、青空がのぞきました。その日、市立中学校の体育教師になったばかりの星野富弘(ほしのとみひろ)さんは、放課後、生徒たちに機械体操を教えていました。いつもと変わらない一日が終ろうとしていたそのとき、事故は突然 起きました。マット運動で前方宙返りの手本を見せようと跳躍したところ、頭から落下。一瞬にして首から下の体の機能を失ってしまいました。事故から2年後、星野さんは文字を書いてみようと思い立ちます。きっかけは同じ病室で共に過ごした中学生の高久君の転院に寄せて、皆で帽子に寄せ書きをしたことでした。高久君の喜ぶ顔を想い浮かべ、はじめてサインペンを口にくわえました。全身の力を首にこめてペン先を帽子に向けます。わずかな点を一つ、くっきり残しました(点を一つ、つけるのがやっとでした)。

それをきっかけに、本気で字の練習を始めました。まず体勢を仰向けから横向きに変えて、サインペンにガーゼを巻いてくわえ、ペン先がくるあたりにスケッチ・ブックを置く。そうやって初めて書いた文字はカタカナの「ア」でした。事故以来、何一つ自分でできなかった毎日・・・。大きな自信を得ることができました。念願の手紙を書くこともできるようになりました。

あるとき、お見舞いに頂いた「花」がふと目にはいりました。花一輪。「花を、じーっと見つめていると不思議と、どんどん自分が小さくなって、はなびらの間を飛び回っている気がしてくるんですよ」と星野さん。花を描き始めて5年の月日が過ぎた1979年の春、展覧会を開催することになりました。「とにかく恥ずかしかった」と星野さんは言われますが、60点の花の絵は、あっという間に完売しました。1991年に地元の群馬県東村に「富弘美術館」がオープンしました。詩画集「花よりも小さく」は人々に永く愛されています。

・ ・・おぼえておきたいことは忘れてしまい、忘れてしまいたいことは けっして忘れられず・・・
にくらしいけれど わたしのこころ・・・・

詩画集「花よりも小さく」より

「花を見ることは、大きな自然をみること。誰からも愛される桜はもちろん美しいけれど、皆から「貧乏草」なんて言われて煙たがられるハルジオンが、どんなに愛らしいことでしょう。人間も同じですよね。見た目や、一方向からだけでは何もわからない。寛容な目でみなければ、本当の姿は見えません。そんな気持ちを込めて、私は花を見つめ、描き、そのとき感じたことを詩にしています。一輪の花が、無限のことを教えてくれるのです。」・・・星野さんはおっしゃっています。

8月のお休みは 13・14・15・16(お盆休み)、26・27(社内旅行)
   それと日曜日です。

暑さが続きます。おからだを大切になさってください。

木下製粉株式会社会社  平成17年8月4日