2016年4月のお知らせ

赤べこ?

赤べこ?

お店に来られたお客さまから、「大根」を頂きました。ご自分で栽培していて、一年365日、一日に一度は、田畑を見に行くそうです。直径が15cm以上はあるでしょうか。太くて、りっぱな大根。簡単に切れないんですよ。冬の季節に育つ野菜は、冷たい空気に耐えて、中身が「ぎゅっ」と詰まっている感じがします。

3月、今年も「東日本大震災」の日を迎えました。東北から遠く離れ生活している私にとって、身近にこの出来事を受け止めることができませんでした。しかし、連日24時間、NHK FMラジオから流れる「尋ね人」の放送に、出来事の大きさを実感しました。1週間、いえ2週間以上は続いていたでしょうか。福島県郡山市のSさんからのお葉書が届きました。「おうどんを打っています。今では、パン作りも。・・・3.11から5年になります。作るのも食べるのも、健康であればこそ・・と思う日です」。

香川県から、東日本大震災の被災地に新たな産業や雇用を生みだそうとしている人たちの記事を読みました。瀬戸内海せとないかいに浮かぶ小豆しょうどしまは、オリーブの栽培が盛んです。小豆島の農業生産法人「アライ・オリーブ」は、去年、宮城県石巻市いしのまきしで30本のオリーブを試験栽培したところ、25本が越冬できました。今年、約100本を植え、経済的産業基盤になるように技術指導をしています。

岩手県陸前高田市りくぜんたかたしのうどん店「ぴっぴ家さぬき陸前高田総本店」は、まもなく開店2周年を迎えます(讃岐では幼い子供に、「おうどん、食べる」ということを「ぴっぴ、たべるんなあ」と話しかけます)。香川県中小企業家同友会が震災翌年に被災地を訪れたとき、地元の方が「欲しいものは何もねえ。ただ、明日することがないのがつらい」と言われた言葉が、うどん店を企画する「きっかけ」になりました。うどんの麺は香川県から直送し、セルフ形式で販売しています。店員の方は、「うどんのゆで方も、セルフ形式の意味もわからず、最初は大変でした」と言われます。

今日では、地元食材の茎わかめのトッピングも加えられました。「責任もあるけれど、やりがいや楽しみも感じています」というコメントに安心しました。2011年、讃岐の自然の中で、「のびのび」とした時間をすごしてもらいたいと、「福島の子どもたち香川へおいで」企画が始まりました。ホスト・ファミリーと共に生活し、うどん打ち体験をしたり瀬戸内海の島々を巡ったり・・。今まで、約700名の子どもたちが来ました。

NHK・FMラジオで、毎土曜日の夜、ジャズ批評家の児山(こやま)()(よし)さんが「ジャズ・トュナイト」という番組を放送しています。2月の最終土曜日はリクエスト特集でした。(香川県)高松市にお住いの「ただ ちえ」さんからのリクエストが紹介されました。「震災以後、高松に移り住み、こちらでの生活も落ち着いてきました。津波で逝ってしまった父の好きだった、ピアニスト、キース・ジャレットの When I fall in love・愛に出会うとき・・をリクエストします」。静けさの中に、力強さ・たくましさを感じる曲です。5年前の春、福島県田村市のお客様から届いた、「赤べこ」という民芸家具「赤い牛」の絵が描かれた絵葉書を事務所に飾っています(東北地方の方言で、「牛」は「べこ」という意味だそうです)。

807年、福島県会津地方に位置する「円蔵寺(えんぞうじ)虚空蔵堂(こくぞうどう)」の建立の際、只見(ただみ)(がわ)を利用して材木を運搬しました。人々が運搬に困っているときに、何処知れず、牛の群れが現われました。最後まで働いたのが「赤色の牛」だったと言われ、「赤べこ」が作られました。5年の歳月を経て、絵葉書の「赤べこ」の赤色があせてきました。たくさんの人たちが、様々な想いで「3.11の日」を迎えています。この日を、後世に伝えていかなければならない想いを強くしました。

4月のお休みは、16日(土曜日)・29日(昭和の日)そして日曜日です。

香川県では、第3回瀬戸内芸術祭が始まりました。瀬戸内海の島々を巡りながら、島の生活とアートを楽しむ旅です。ぜひ、香川へお出かけ下さい。
おからだ、大切になさって下さい。