2011年5月のお知らせ

3月11日の震災以来、今までとは異なった「時間の流れ」が過ぎて行きました。ときには「速く」感じたり、ときには「ゆっくり」感じたり・・。震災で影響を受けられた方たちの生活は、少しずつ落ち着かれているでしょうか!?FMラジオの音楽番組で、福島県南相馬在住の方の手紙が読まれていました。「地震・津波・原発事故の日以来、私たちの生活は一変しました。南相馬は原発より30km圏内に位置し、放射能を心配しながらの屋内待機の毎日です。子供たちは、晴れた日も家の中で過ごしています。自然豊かな、愛する故郷を取り戻したい。普通の生活を取り戻したい」っと。人々の気持ちが身近に伝わってきます。

4月上旬、福島県いわき市のお客様から葉書が届きました。「ここ、いわき市も海沿いの地域はほとんど惨状ですが、海岸から離れている小生宅は、幸い被害も少しで済みました。しかし、それ以上の災難は原発事故です。現地から40kmとはいえ、毎日風向きを気にしながら不安の日々が続きます。穏やかな日々が訪れることを待っています」。福島県田村市のお客様からは、「赤べこ」という「民芸玩具の赤い牛」の絵が描かれた葉書が届きました(「赤べこ」は平安時代に子供たちの無病息災を願って、広まりました)。「原発が一番、気になります。幸いにも30kmの外ですが、田畑を作る許可がでません。これから、長丁場になると思います。4月末には桜の花が咲きそうなので、外でお花見がしたいです」。

4月下旬、岩手県陸前高田市の知人から電話がありました。「あと2・3分で津波に襲われるところでした。自動車で走りながら、津波が後から追いかけてきて・・・」(私はどのように話を続ければよいか、言葉を見つける事ができません)。「電気・水道を使う事ができますか?」。「電気は使用できますが、水道はまだ・・・。でも、この様な生活は恵まれていますよ。私、頑張りますからね!」と、私のほうが励まされました。

「困難に直面したとき、歴史は解決の糸口を教えてくれる」という言葉を思い出しました。歴史を振り返れば、自然災害が政治・経済・社会を不安定にさせた時代が何度かありました。17世紀のヨーロッパは、異常寒波による穀物の不足、ペストの流行などの災害に会いました。しかし、イギリスは短期間でこの危機から脱出しました。牧草飼料の考案により冬季の家畜飼育が可能になり、アフリカ・西インド諸島などへ貿易販路を拡大しました。「(輸入した)紅茶に砂糖をいれて飲む」というイギリス生活様式は、この時代に生まれました。「砂糖入り紅茶」は単なる飲み物ではなくて、労働者にとって短時間で「高いカロリー」を摂取できる朝食となりました。早朝から労働者が働く事が可能となり、産業革命成功の一要因となったと言われています。大都市ロンドンに一極集中していた政治・経済・文化は、地方へと分散しました。

歴史家の川北稔さんが新聞に書かれていました。「政治は江戸、経済は大阪、文化(権威)は京都。日本が三つの都に分かれていた時代が、安定した時代でした。人々が幸せな人生を送るためには、私たちの価値観・精神的な部分が変わる必要があると思います。いつもトップを走らないと不安という考えに固執していると、困難な場面をうまく乗り越えられませんよ。歴史学は、本質的に未来学です」。一筋の光が、心の中に差し込んできた想いにかられました。新しい時代を歩み始めていると思いました。

5月のお休みは 3日(憲法記念日)、4日(みどりの日)、5日(こどもの日)、
   21日(土曜日)それと日曜日です。

山歩きに詳しい友人といっしょに、讃岐富士と呼ばれる「飯野山」に登りました。木立の中で、「山野草」がひっそりと、そして凛と白い花を咲かせています。私たちは宝物を見つけたように、はしゃいでしまいました。おからだ大切になさって下さい。

木下製粉株式会社  平成23年5月1日