2010年10月のお知らせ

讃岐では、朝6時ごろ・・辺りは、まだ薄暗く、ヒンヤリとした空気が窓から流れてきます。「秋の空気」です。夏から秋への移り変わりの季節。大好きです。

8月27日・28日と社内旅行で京都を訪ねました。京都市内から国道162号線を北に向かって走ること1時間あまり。「くねくね」とカーブを走りながら、京都府南丹市美山町にある「かやぶきの里」に到着しました。美山は、京都と若狭(現在の福井県小浜市)の中間地点に位置し、古くは交通の要所でした。若狭湾で獲れた「鯖」を塩漬けして、夜も寝ずに歩いて京都の食卓へ届ける。京都に着く頃、「鯖」がちょうど良い塩加減になったそうです。それ故、「里」の中央を走る道は「鯖街道」と呼ばれています。

かやぶきの里の入口に立っている、赤い円柱型の郵便ポストが私たちを迎えてくれます。絵本の中に出てくるような風景です。真夏の昼下がり、地元の方の説明とともに散策しました。美山町北村に現存する38棟の茅葺き屋根の家屋の多くは、江戸時代中期から後期にかけて建てられました。100人ほどの方が実際に生活されています。家の軒先から、茅葺き屋根を見上げました。屋根の部分の厚さは、50cmぐらいあるでしょうか・・。「藁」がぎっしりと詰まっています。以前は50年に一度、「茅の葺き替え」をしましたが、現在は20年毎に行います。昔は「釜戸や、囲炉裏」から上がった煙が屋根をいぶしたので、茅が長持ちしました。

「何か、質問はありませんか!?」と案内の方が言います。「(問)はいっ!!質問!!(威勢のいい声)茅の葺き替え時期の目安は、何ですか?」。「(答)屋根に苔が生える頃が、葺き替えの時期の目安です」。茅葺き職人の後継者がいなくなりそうな時もありましたが、住民の中から職人が誕生しました。1軒の茅葺き屋根の葺き替えに要する費用、どれくらいだと思いますか!? 約1000万円だそうです。国の審査を受けて、費用の9割の補助が支給されます(住人たちは、家の外郭を自由に修理することはできません。ヨーロッパの歴史保存地区では、建物の外側の色・屋根の色などは、市街の条例に従うことが多いです)。茅葺き屋根の住居は、火に弱い建物です。住居の母屋毎に「放水銃」が、小さな小屋の形をした格納箱中に収納されています。1993年、美山のかやぶきの里は、文化庁の「重要伝統的建造物群保存地区」に選ばれました。

20年前、美山町内に400軒あった「かやぶきの建物」は、半減したそうです。暮らしにくい事から、民家を手放す人がいる半面、かやぶき民家の魅力にひかれて美山町に移り住んだ方もいます。大阪から越してきた森田さんの家は築250年。部屋は薄暗く、雨漏りもします。でも、「近くを流れる川の音、木を揺らして風が走る音・・生きている実感がする」と言われます。

ふきかえ職人の中野さんは、「かやぶきには、生命力を感じる。住んでいるお年寄りも元気です。自然素材の力のおかげですよ」と。「次回はゆっくりと一泊して下さい。夜の静かな美山町も素敵ですよ」と案内の方が言いました。鹿の鳴き声が聞こえるそうです。お店の片隅に、「自由に傘を使ってください」と傘が置かれていました。美山町の人々の優しさが伝わってくる言葉でした。

10月のお休みは 11日(体育の日)、23日(土曜日)
   それと日曜日です。

美山町から京都へ向かいます。バスの中を見渡したら、みんな、ぐっすりと眠っています。京都でのお話は来月させていただきます。季節の変わり目です。おからだ、大切になさって下さい。

木下製粉株式会社  平成22年10月1日