2009年7月のお知らせ

久しぶりに雨が降りました。雨上がりの夕暮れの空に、小さな虹を見つけました。なにかしら、思いがけないプレゼントを頂いた気持ちになります。

劇作家の平田オリザさんは、16歳(1979年)のときに高校を休学して、世界一周自転車旅行の冒険に出かけました。アメリカ・ロサンゼルスの空港で、リムジンバスの発車時刻を尋ねました。「テノクロ」という言葉の返事。平田さんは、何を意味するのかわからないまま結局、バスに乗ることをあきらめました(「テノクロ」とは、「Ten o ‘ clock テン オクロック10時」を意味したことだと、後で解りました)。

空港で自転車を組み立て、10キロも走らないうちに、現地のサイクリストに話しかけられました。何を話しているのか、さっぱり解りません。「家に来なさい。日本語が話せる人がいるから・・」と言っているらしい。誘われるままについて行きました。その方の友人は日本に住んでいたので、日本語を話しました(あ~よかった)。平田少年が、自転車での冒険旅行のために日本から一人でやって来たことを話すと、「ツーリング・サイクリスト・ホスピタリティ 自転車旅行歓迎」名簿を渡されました。

アメリカの自転車乗り協会の人たちが、相互扶助のためにつくった名簿です。名簿に記載されている方を訪ねれば、自転車乗り仲間は無償で、宿泊・食事を提供されるという協会です(改めて、アメリカの国民性が寛容であると思いました)。ドラマのような話ですが、平田少年は自転車を漕ぎ始めて、1時間足らずで「夢の出会い」を手に入れました。
アメリカ大陸を横断する3ヶ月の間、名簿に記載されている約20家庭に泊めてもらいました。平田少年は、アメリカの普通の家庭に泊めて頂いた経験により、人々とコミュニケーションをとる能力が培われたそうです。1年半の旅行の間、26カ国を訪ねました(想像もできない強い意思の持ち主であると、思います)。大学3年生のとき、平田さんは韓国の延世大学で韓国語を学びました。韓国語が日本語と文法的に共通点があることで、語学コンプレックスから開放されました。日本語・英語・韓国語を勉強するうちに、大切な事に気づきました。日本語の表現どうりに、すべてを正確に伝えようとしていたために、「必ずしも、すべての事は伝わらない」ことに気づきました。

以来、「相手と向き合って、自分の気持ちを伝える」コミュニケーションが大切だと思うようになりました。演劇の仕事のかたわら、大学で「コミュニケーション」を教えています。さまざまな対人関係において、意思の疎通を円滑にする状況を考えることが主題だそうです。

海外を旅するとき、友人が私に質問しました。「お金が要らなくて、落ち着いた環境で、待ち合わせに最適な場所はどこ!?」・・「駅の待合室かしら・・?」・・友人の答えは「ホテルのロビー」でした。「海外へ行くのだったら、日本中心に物事を考えたらダメだよ。柔軟な考え方を持つようにしょう!」。友人のアドバイスの意味が、ようやく解りました。             

7月のお休みは 20日(海の日)、25日(土曜日)
   それと日曜日です。

「月」が「太陽」の前を横切るために、月によって太陽が隠される(さえぎられる)ことを「日食」といいます。7月22日(水曜日)、午前9時過ぎから、日本全土で「部分日食」(太陽の一部が隠される)が観測されます。屋久島・奄美大島では太陽が完全に隠される「皆既日食」が観測されます。皆既日食が、同じ場所で起こる確率は、100年に一度だそうです。楽しみです。暑い毎日、おからだ大切になさって下さい。

木下製粉株式会社会社  平成21年7月1日