2007年11月のお知らせ

夕方5時を過ぎると、急に薄暗くなります。夕陽の色はオレンジ色。「橙(だいだい)色」と表現したほうが良いでしょうか。秋が深まってきていることを実感します。

先日、友人が訪ねて来てくれました。Hさんご夫婦(40年、アメリカで生活されている日本人)、Hさんのご姉妹(横浜と富山から)そしてスイス人のAさん。5人の友人が、時を同じくして香川に集まりました(素敵なことだと思いませんか・・!!)。

「こんぴら船々(ふねふね)追風(おいて)に帆かけてシュラシュシュシュ・・・」こんぴらさんの民謡。金刀比羅宮(ことひらぐう)の創建時期は平安時代と言われています。漁業・航海の神様として、全国の水産・造船・海運に関わる人々の信仰を集めています。140年ぶりに「奥書院」が公開されるという知らせ・・・友人たちと「こんぴらさん」を訪ねました。

金刀比羅宮には5ヶ所の文化財展示館があります。来客を応接する宮殿「表書院」では、丸山応挙(まるやまおうきょ)の襖絵(ふすまえ)を見ました。虎が描かれた「遊虎図(ゆうこず)」。よく見ると虎の表情が「猫」に似ています。丸山応挙は実際、虎を見たことがなくて、猫をお手本にこの絵を描いたそうです。普段、表書院は公開され、ガラス窓越しに襖絵を鑑賞できます。この秋は、特別に絵画を近くで鑑賞することができます。

「奥書院」は江戸時代に建てられた金刀比羅宮の邸宅で、通常は非公開です。1764年伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)は襖に「花丸図(はなまるず)」を描きました。201点の花々が描かれています。200年以上の時の流れを経て、花々の色は「落ち着きと気品」を増しています。どうして、こういう色が描けるのだろう・・・と。薄暗い奥書院の中で、しばらく「花丸図」を眺めていました。静かな空気の中で、時間が後戻りするような気持ちになりました。(美術館でみる絵画展ではなくて)歴史の感じられる建物のなかで、絵画を鑑賞できる贅沢を経験させていただきました。私にとって最も印象深い絵画は、邨田丹稜(むらたたんりょう)の「富士山図(ふじさんず)」でした。薄い色の墨で富士山が描かれています。ほんとうに薄い墨の色。ほとんど薄いベージュ色に近い印象です。こんなに優しい・大らかな富士山の襖絵は、初めてでした。

 美術の教科書で「鮭」の切り身を縄でつるされている絵画。おぼえていますか。髙橋由一(たかはしゆいち)の作品です。髙橋由一は江戸時代末期の画家。油絵の技法を習得した、日本で最初の洋画家と言われています。高橋由一は身近なものを描きました。たとえば「豆腐(とうふ)」「隅田川の風景」。西洋の真似ではない「日本人の油絵」と評されています。髙橋由一と金刀比羅宮の接点は、由一が絵画塾の資金援助の依頼がはじまりと言われています。金刀比羅宮が美術に対して、思慮が深かったことがわかります。この書院展は、(10月1日~12月2日,12月29日~1月31日)まで開催されています。思いがけず贅沢で幸せな時間を過ごしました。

11月のお休みは 3日(文化の日)、17日(土曜日)、23(勤労感謝の日)、
   それと日曜日です。

2003年がはじまりました。皆様がご健康で、楽しい毎日をすごされますように・・・。
お体 大切になさってください。

木下製粉株式会社会社  平成19年11月2日