2012年9月のお知らせ

真夏の朝7時、太陽はすでに高く昇っています。地面に、うつ伏せになっている「アゲハ蝶」。暑さに疲れたのかな・・? 男女5人のグループがジョギングしています。オリンピック競技に勇気づけられたのでしょうか。自転車で上り坂を走っている人。ラジオを聞きながら、「ミカン畑」の手入れをする人たち。耳を澄ますと、ラジオからはクラシック音楽が流れています。なんて素敵な時間の過ごし方をしているのでしょう。

岡山県と香川県を結ぶ瀬戸大橋は1978年10月10日に着工され、1988年4月10日に開通しました。大橋は、瀬戸内海に浮かぶ櫃石島(ひついしじま)・岩黒島(いわくろじま)・羽佐島(はさしま)・与島(よしま)・三つ子島を経由しています。明治生まれの父親はしばしば、大橋の工事現場に足を運んでいました。「夢」のような計画を、自分の目で確かめていました。ある日、高層ビルのような高さの橋脚台が準備され、翌日、その橋脚台は、すでに海の中に沈められていました。計画の壮大さを感じた瞬間でした。1967年、坂出市の「番の洲工業地帯」の建設・埋め立て計画に伴い、瀬居島(せいじま)と沙弥島(しゃみじま)は陸続きとなりました。瀬戸大橋の坂出側の玄関口に位置するこの沙弥島に2004年、「東山魁夷せとうち美術館」が開館しました。

「なぜ日本画家、東山魁夷の美術館が坂出市に開館したのかしら?」と、不思議に思う方が多いでしょう。東山魁夷の祖父が「櫃石島」の出身である御縁から、実現しました。美術館の入り口は、魁夷の絵画「道」をイメージした「細長い道」が私たちを迎えます。2つの展示室は、直射日光が入らない様に設計されています(繊細な作品を保護するためでしょう)。展示室を抜けると、真正面に瀬戸内海が広がるラウンジに出ます。右側は瀬戸大橋がそびえ立ち、左側には沙弥島の海岸が広がります。ちょうど漁を終えた小船が、島の入江に帰ってきました。ガラスで仕切られている館内からは、小船のエンジン音は聞こえてきません。眺める景色は、「風景画」のようです。

外に出てみました。潮の香り・・静かな波の音・・遠くから聞こえる船の音・・やわらかい空気・・。お薦めの時刻は、夕暮れです。夕陽が瀬戸の島々の間を、ゆっくりと沈んでいきます。魁夷の絵画から「静寂さ」が伝わり、そして静寂の中から、「音色」が聴こえてくるようです。美術館と瀬戸内海の景色が調和した、小さな美術館です。8月の企画展は「季節の色と形/雑誌「新潮」の表紙絵」です。1954年から2年間、月刊雑誌「新潮」の表紙絵、「季の詩」12ヶ月と「夢の詩」12ヶ月が、東山魁夷の言葉とともに紹介されています。

色彩や構図が単純化されている表紙絵は、「動きやユーモア」が感じられます。魁夷の言葉を読みながら、思わず微笑んだり、うなずいたり・・。そして、改めて東山魁夷の真摯な、そして誠実なお人柄が伝わってくる絵画展でした。「夢の詩」1月号の言葉は、「羽根 美しければ 美しい鳥・・の諺を選んだ。言葉から受ける感じが明るくて華麗なので、これを新年号の表紙とした」。飾りのない言葉が、「す~っ」と心の中に入ってきました。坂出市に来られたとき、ぜひ訪ねて下さい。きっと、「心」が和みますよ。

9月のお休みは 1(土)、8(土)、17(敬老の日)、22(秋分の日)
   それと日曜日です。

朝のウォーキングのとき、白いわんちゃんに会いました。どうも飼い主がいないようです。お腹が空いているのでしょうか。元気がありません。明日も、同じ時間、同じ場所で会えますように・・。

お身体、大切になさってください。

木下製粉株式会社  平成24年9月1日