#936 2024年今年の三大ニュース

早いもので今年もあと数日を残すのみとなりました。今年も皆様には一年間お世話になりました。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。さて昨年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、いまではすっかり元の日常生活が戻ってきましたが、商習慣はそうでもないようです。先日も「忘年会が少人数化、もしくは内輪だけで楽しむ傾向が顕著になり、居酒屋が困惑している」といったニュースが流れ、改めて消費スタイルの変化を感じました。

さて例によって今年の業界3大ニュースを独断でチョイスしました。今回は嬉しいビッグニュースだけでなく、ちょっぴり残念なニュースもありました。それではみなさんどうか良い年をお迎えください。来年もよろしくお願い致します。

【2024年独断の業界3大ニュース】
①うどんレスラーパリ五輪で金(#918)
香川県出身の日下尚選手がパリ五輪において、並み居る強豪選手を撃破し、レスリング・グレコローマンスタイルにおいて見事金メダルに輝きました。地元紙では、日下選手が大のうどん好きであることから、「最強うどんレスラー」とか「うどんパワー快挙支え」といった見出しが並びました。また「試合前には、勝負飯のうどんをすすり、コシとパワーをチャージするうどんレスラー」とか、「ラスト2分はうどんパワーで耐え抜いた」と紹介され、うどん県冥利に尽きる記事内容でした。

日下選手の通ううどん店での定番メニューは、「肉ぶっかけ4玉」。「メダルをとったらうどんは一生無料!」との大将の一言がどう影響したのかは不明ですが、日下選手の優勝は地元うどん県にとっては大きな励みとなりました。

②「さぬきの夢」不作(#919)
R6産小麦の播種は、2023年11月上中旬の降雨によりやや播種時期が遅れ、作付面積は前年(2,536ha)より64ha減の2,472ha。播種期以後は暖冬で推移し、3月は一時低温傾向でしたが、4月以降は再び高温で推移。降水量については、2月下旬以降、特に3月4月は降水量が多く、その結果、湿害が発生したため根が傷み、下葉の枯上がり(下部の葉が枯れる現象)や枯熟症状(成熟期に入ると、葉が急速に枯れ始めるため穂や子実が不良なる現象)が発生したために、収量は平年を大きく下回りました。

「さぬきの夢2009」の集荷数量は、8,232t(予想)↓5,600t(実績)となり、その結果、単収は239kg/10a(予想の68.0%)と大きく減少しました。またパン用硬質小麦「はるみずき」については、124haを耕作し454tを収穫(単収は366kg/10a、予想の75.7%)、そして「さぬきの夢2009」の後継品種である「さぬきの夢2023」は6ha耕作し、21tを収穫しました。

③乾麺生産量18万トンを割り込む(#904)
令和5年(2023)の各種めん類生産量が発表され、乾めんは史上初めて18万トンを割り込みました。昭和の最盛期には36.4万トンの生産量を記録したので、半減以下となりました。ただこれは乾めんの魅力がなくなったのではなく、食の多様化の結果であると考えるのが妥当です。

香川県ではかつてうどんといえば、製麺所のうどん玉、もしくは乾めんの二択のみでした。しかし湿気や酸素をシャットアウトするガスバリア袋が開発されたお陰で、ゆでたうどんを加熱殺菌し、完全密閉することで、数ヶ月の常温保存できる「LL(Long Life)めん」が開発されました。また通常流通であればカビが発生するような「ゆでる前の状態のうどん」でも、ガスバリア袋にいれることで、常温流通が可能になり、家庭でも専門店のうどんが調理できるようになりました。さらには「冷凍うどん」、即席めん・カップ麺など様々なタイプのうどんが次々と開発されました。

過去30年間に乾麺全体では、30%程度下落していますが、特に落ち込みが大きいのがうどん(38.8%)です。つまり調理時間の長い乾麺のうどんは、冷凍うどんやLLめんに代替されたことになります。

番外編 「さぬきの夢」世界へ
某ビール会社の地元紙広告(12月28日)に、5月20日掲載の「さぬきの夢」についての記事が再掲されました。これは「みなさんの夢が広がった1年、おつかれ生です」というタイトルの「夢」つながりで「『さぬきの夢』世界へ」という記事が引用されました。みなさんの地方でもそれぞれ記憶に残った記事がピックアップされたのではないかと思います。それでは、みなさん今年も一年間どうもおつかれ生でした。どうぞ良いお年をお迎えください。