#384 招牌と「さぬきの夢こだわり店」

招牌(しょうはい)って聞いたことがありますか?招牌とは、「看板」のことです。どんな形が標準だったのかはわかりませんが、昔のさぬきのうどん屋さんの入り口には、このような招牌がかかっていたそうです。これはお家の格好をした板に、細長い円柱状の棒がいくつもぶら下がっていて、ちょっとイカを太くしたような形です。これは讃岐では有名な話(?)ですが、どうしてそれがわかるのか、簡単に説明いたします。

実は海の神様である金毘羅さんには「金比羅祭礼図屏風」という絵が所蔵されています。これは完全な受け売りですが、これは金毘羅大権現の大会式(例大祭)当日の様子を描いた六曲一双の図屏風で、左隻には二王門(大門)から本社に達するまでの山上の風景が、右隻には頭人行列や門前町など山下の有様が描かれています。そして各隻には、「清信筆」の署名と「岩佐(方印)」「清信(円印)」の押印があり、狩野休圓清信が金毘羅の依頼で元禄年間(一六八八―一七○三年)に描いたものと伝えられています。

そして、一気に庶民的になりますが、私たちが特に関心があるのは、その屏風の中に3軒のうどん屋さんが描かれていて、その軒先にその「招牌」がぶら下がっているのです。つまりその屏風は今から300年以上も前に描かれたと言われていますので、さぬきのうどん屋さんの歴史は少なくともそれよりも古いということになります。当時のうどん屋さんには、一体どんなメニューがあったのか気になるところです。

ところでさぬきには、「さぬきの夢こだわり店」という認定制度がありますが、これに認定されるには2つの条件があります。まず、当然ですが年間を通じて、「さぬきの夢」を100%使用したうどんを提供していること。そして次に、「かがわ農産物流通消費推進協議会」が、ここなら誰が食べにきても大丈夫と認定していること、です。

聞いた話ですが、毎年この「こだわり店」に応募したうどん屋さんには、覆面審査員が調査に行き、そこで「めん」、「だし」、「サービス」の3つを審査し、その厳しい審査基準をパスしたうどん屋さんだけが認定されるそうです。

つまり「さぬきの夢こだわり店」とは、「さぬきうどん業界の3つ星レストラン」と言えるかもかも知れません。以前は9店舗でしたが、今年新たに2店舗が追加され、合計11店舗になりました。話は戻りますが、この11店舗の軒先にはこの「さぬきの夢こだわり店」と書かれた招牌がかけられているはずです。因みにこれを揮毫したのは、浜田香川県知事だそうです。今度こだわり店にいらしたら、是非この招牌をじっくりとご覧になってください。