#592 めん類生産数量の推移(H1~H28)

f592業界紙(麺業新聞2017.10.18)に「めん類生産量の推移」が掲載されていたので、備忘録を兼ねてご紹介いたします。一口に「めん類」といっても様々なめんがあります(面倒なので以下「めん」は「麺」と表記します)。種類でいうと「うどん」、「中華麺」、「日本そば」、「皮類」、「パスタ」など、また製造方法に着目すれば、「生麺」、「ゆで麺」、「むし麺」、「乾麺」、「即席麺」などがあります。以下簡単に各麺について説明し、併せて(H1~H28)の期間の推移をみます。尚、「生麺」と「ゆで麺」については詳細なデータが記載されていますが、これはこの業界紙の特徴だと推察します。

【生麺】未加熱・未乾燥の状態の麺を指します。言いかえると、小麦粉を塩水で練り、熟成させ、延ばして切った状態の麺のことです。よって「生麺」は食する前に、必ず「ゆでる」という作業が必要になります。

うどんは34,768↘199,58 (57.4%)、中華麺は215,648↘173,703(80.5%)、日本そばは25,874↘17,464(67.5%)といずれも大幅に減少しています。これは麺をゆでる手間が面倒であることが主たる原因であろうと推察します。

【ゆで麺】
生麺をゆでるとゆで麺になります。一番よく見かけるのは、スーパーの冷陳ケースに個包装されて並んでいるゆで麺です。ゆで麺は商品によっては数倍の価格差があり、品質もピンキリです。予めゆでているので、専門店のうどんの食感とは異なりますが、中には小麦でんぷんの旨味を上手に引きだしている商品もあります。また手軽で人気のある冷凍うどんは、ゆで麺を急速冷凍しているので、これもゆで麺となります。

うどんは204,025↘193,236 (94.7%)、中華麺は54,569↗72,250(132.4%)、日本そばは38,872↗61,069(157%)と生麺に対して健闘しているのがわかります。

【むし麺】
生麺を蒸したもので、普通は中華麺を蒸して焼きそば用の麺として販売されています。蒸しているので水分が少なく鉄板で焼いてもくっつきにくいので、やきそばに適しています。

むし麺は、79,244↗98,580(124.4%)と大幅アップ。

【皮類】
餃子、ワンタン、シュウマイなどの皮を総称して皮類といいます。皮類は、23,262↘15,871(68.2%)と大幅ダウン。

【生・ゆで合計】
生麺とゆで麺の合計では、676,262↘652,131(96.4%)と微減。上記の結果の通り、生麺が減少し、逆にゆで麺が増加し、全体ではほぼ同じ生産量を確保。

【乾麺】
生麺を乾燥させて水分を15%以下にしたものを乾麺といいます。15%以下にすることにより水分活性が低くなり常温での長期保存が可能になりますが、反面ゆで時間が長くなります。乾麺にはそうめん、ひやむぎ、うどん、そばなどがあります。稀に乾燥させていないそうめんがありますが、こちらは生めんになります。

乾麺は、267,342↘185,729(69.5%)と大幅ダウン。理由は、生めん同様ゆでる手間とその時間が敬遠されたと推察されます。乾麺は日本伝統の美味しい食品なので、その実力はもっと評価されてもよいと考えます。

【即席麺】
生めんを熱処理し、でんぷんをα化させ(でんぷんを糊化させ、胃で消化できる状態にすること)、調理時間を短縮した麺です。別名インスタントラーメンともいいます。利便性、簡便性が受け、現在世界中で売れています。

即席麺は、313,541↗419,016(133.6%)と大幅アップ。

【マカロニ類】
マカロニやスパゲッティなどのパスタをいいます。

マカロニ類は、126,762↗151,863(119.8%)と大幅アップ。加えて、現在は国内生産以上のパスタが輸入されているので(#584)、実際の伸び率は更に大きいものとなります。

以上を簡単にまとめると次の2点に集約されます。
①生めんや乾麺は、日本伝統の美味しい食品であるにも拘らず、手間がかかるために敬遠され、逆に即席麺は利便性、簡便性が受け、消費が大きく伸びた。
②食の多様化によりパスタは大きく伸びた。しかも輸入分を考慮すると、パスタ全体の消費量は国内生産量の2倍以上となる。

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