#633 段階式製粉方法②・・・ロール製粉機の仕組み

f633ギリシア時代に発明された石臼は、その後2000年以上にわたり製粉機のベストセラーとなりました。しかし19世紀になるとようやくロール製粉機が発明され、徐々にその主役をロール製粉機に譲るようになります。ロール製粉機と石臼は、見かけはかなり異なりますが、基本的にやっていることは同じです。ただその加工性能と処理能力においては、ロール製粉機が格段に優れます。これは現在の小麦製粉の99%以上がロール製粉機による事実からも明らかです。以下、ロール製粉機の仕組みを簡単に説明します。

①ロール製粉機の構造
ロール機は図のように、鉄でできた一対の円柱状のロールのかみ合い部分に、小麦またはストックを通過させることにより、挽砕する機械のことです。普通は、前後に独立した2組が対称に並び、一度に2種類のストックを別々に処理できる構造になっています。落ちてきた小麦は、内側に向かって回転しているロールに挟まれます。

f633_2②剪断力・・・引き裂く力
ここで注目すべきは、この一対のロールは速差ロール、つまり回転速度の異なるロールが使用されていることです。少し専門的になりますが、この速度比はブレーキ系統で2:5、またサイジング及びリダクション系統で4:5程度です。例えば小麦が最初に通過する1Bロール機は、手前側が500rpm(rpmは1分あたりの回転数)の高速ロールであるなら、後方は200rpmの低速ロールとなります。これは見方を変えると、低速ロールは静止していて、高速ロールが2つの速度差300rpmで回転しているのと同じことです。よってここに、剪断力つまり「引き裂く力」が発生し、小麦を「挽く」という動作が発生します。

またどちらも高速で回転しているので、一度に大量の小麦がロールを通過し、短時間で多くの小麦を挽くことができます。もし両方の回転数が同じであれば、そこを通過した小麦はスルメみたいに薄くなるだけで、中の胚乳はきれいに露出しません。つまり回転速度が異なる速差ロールを利用するところがポイントです。尤もこの速差ロールは、どちらも高速で回転しているので、目視ではその違いを確認することはできません。

ときに「小麦を挽く」ではなく「小麦を潰す」という表現を見かけることがありますが、両者は根本的に異なります。「引き裂く」動作により、強靭な表皮部分はそのまま残り、中の胚乳部分が露出します。そしてこれを篩うことで、できるだけ表皮の混入を避けながら胚乳部分を取り分けることが可能です。一方、「潰す」とは上下から大きな圧力をかけて、粉々にしてしまうため、胚乳と表皮が混じり合ってしまいます。その結果、粉々になった表皮を取り除くことができず、良質の小麦粉を取り分けることができなくなります。

f633_3③フィードロールの役目
ロール機で処理されるための前処理としては、ストックをできるだけ均一な厚さで、ロール機に落とすことが重要ですが、これを行うのがフィードロールの役目です。つまり均一な厚さのストックをロール機に通過させることにより、ロール面全体に均一な圧力がかかり、すべてのストックが一様にもう一段階小さくなります。もしロール通過する際に、落下するストックにムラがあると、大きな塊にだけ大きな圧力がかかる一方、その近傍のストックはロール間隙を素通りしてしまうので、均一な粉砕ができません。ストックがロール機に落ちる場面は、滝から流れ落ちる水流をイメージしてみてください。

またフィードロールに来るまでに、ストックの粒度を均一に揃えておくことも重要です。粒度にばらつきがあると、ロール通過時に大きなストックばかりに圧力がかかり、小さなストックは素通りしてしまします。均一な粒度でロール機を通過し、もう一段階小さなストックに加工するのが、ロール製粉機の役目です。徹底したストックの粒度管理が、現代製粉の基本です。