木下製粉株式会社 さぬきより「挽きたての粉」をお届けします!

#604 穀物捕捉事故(grain entrapment incident)

f6042017年1月2日、カンザス州ウィチタ市のガビロン(Gavilon)カントリーエレベーター(穀物貯蔵施設)に於いて、作業員2名がサイロ内で埋もれて死亡するという痛ましい事故が発生しました。事故の通報を受け、救急隊が駆けつけましたが、高さ36メートルのサイロ中ほどに閉じ込められた従業員を発見するのに3時間を要し、残念ながら既に手遅れでした。米国労働安全衛生局(OSHA)は、現在原因を調査中です。

穀物サイロといえば、恐ろしい粉塵爆発事故について、以前ご説明しました(#596)。実はこの施設では、1998年にも7名が死亡、10名が重軽傷という痛ましい粉塵爆発事故が発生しています。ただ当時の施設所有者はデブルース(Debruce)穀物会社でしたが、その後経営統合され、現在はガビロン社所有となっています。何れにせよ、同一施設で大事故が2度も発生しているとは驚きです。

さてアメリカでは2016年、5件の穀物関連の粉塵爆発事故(内2件が死亡事故)が発生。そして2017年にはディディオンの大規模粉塵爆発事故がありました。ただ21世紀に入ってからのアメリカ全体での農業関連の労災事故は、減少傾向にあります。しかしながら、穀物捕捉事故に限っては例外で、パーデュー大学の調査によると、2015年に24件(内死亡事故14件)、そして2016年に26件(内死亡事故18件)と増加しています。

f604_2ここで穀物捕捉事故という、日本ではあまり聞きなれない事故について少し説明します。「穀物捕捉(grain entrapment)」というのは、作業員が誤ってサイロ内に保管されている小麦やトウモロコシなどの穀物に入ってしまい、自力で脱出できない状態をいいます。自力で脱出できず、完全に穀物に埋もれてしまうと、死亡率が高くなります。よってサイロ内で作業する場合は、必ず安全帯(命綱付きベルト)を装着し、同伴者を伴うなどの安全対策が必要です。

ではなぜ、わざわざ危険なサイロ内に立ち入るのか?その一番の理由は、「穀物上の歩行」を行うためです。穀物の排出は、サイロ下部から行われますが、このとき作業員がその穀物の上を歩くことで排出する穀物の流れを速めることができるため、一部の穀物施設では、この危険な行為が行われています。排出中の穀物は流れているため、一旦捕捉されてしまうと、飲み込まれる可能性が高くなります。

大規模施設では、このような行為は法律によって禁止されていますが、10人未満の比較的小さな施設では、免除されているため、まだまだ穀物上の歩行が行われています。また未成年者は、安全規則を遵守する対象にはなっていたいため、家族経営の小規模サイロでの事故発生率が高くなっているようです。未成年者が対象外である理由は、「両親は子どもたちに危険な仕事はさせない」という暗黙の了解がその根拠だそうですが、よく理解できません。

他の事故原因として「穀物雪崩(Grain Wall Avalanche)」があります。水分が多いと穀物が固まったり、また内壁に付着したりすることがあります。それを取り除くときに、固まった穀物が一気に崩落して埋もれてしまうのが、穀物雪崩です。また「穀物ブリッジ(Grain Bridge)」というサイロの中が一部分空洞になる場合があります。そういう状態で、知らずにブリッジの上に立てると、ブリッジが崩落して穀物捕捉が発生します。

穀物捕捉が起こると短時間で死に至る可能性が高まりますが、その原因は穀物の重さによる圧死ではなく、穀物によって気道が塞がれる窒息死です。よって穀物捕捉が起きても、空気ポケットがあれば呼吸を続けて救助を待つことができます。実際、穀物捕捉が起きても3時間生存することができたという記録もあります。

木下製粉株式会社 2018年1月28日


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