木下製粉株式会社 さぬきより「挽きたての粉」をお届けします!

#460 日豪EPA発効・・・小麦自由化ならうどん玉の値下げ幅は?

f460「牛肉値下げ 家計に朗報」という新聞記事(1月16日)に目が留まりました。ご承知のように、これは日豪EPAが2015年1月15日に発効したのに伴い、スーパーで牛肉の安売りセールが始まりましたという内容です。EPAとは経済連携協定(Economic Partnership Agreement)のことで、経済上の連携を強化するのが目的です。日豪EPAの具体的な内容は、日本から豪州に輸出する自動車関税(5%)を中型車で即時撤廃する代わりに、豪州からの農産物の関税を下げるというものです。

日豪EPAの発効により、オーストラリア産の冷蔵牛肉の関税は、38.5%から32.5%に下がり、今後更に毎年下がり続け15年目には23.5%になります。同様に冷凍牛肉の関税は、30.5%に引き下げられ、18年目には19.5%にまで引き下げられます。簡単に言うと、運送料などを別にすれば、現在1,000円の冷蔵肉の関税込み価格は、今後15年かけて1,385円から1,235円に引き下げられます。またワインの関税は今後7年でなくなり、ブルーチーズ(乳製品)の関税は10年かけて2割下がります。

先日あるうどん屋さんとお話をしていると、話題が「肉うどん」のことになりました。「肉うどんが当店の売れ筋なんです」と仰るので、日豪EPAの記事を念頭に、「それじゃあ牛肉が値下げになってよかったですね!」と答えたところ、「とんでもない、牛肉は昨年に比べて2倍近くになって大変なんですよ」というお答えにびっくりしました。事情をお聞きしたところ、急速に進んだ円安に加え、最近は中国などの新興国における牛肉需要が増大しているために、輸入価格が急騰し、価格もさることながらボリュームを確保するのも一苦労とのお話でした。よって肉うどんも牛丼も、現時点では一切値下げの余地はないとのことでした。

さてここからが本題です。今回の日豪EPAでは、コメは関税撤廃の対象から「除外」、そして小麦は「再協議」、つまり「将来的に見直す」ことになったので、直接的な影響はありません。よってEPA条約発効によっても、うどんの価格に変動はありません。

ところで現行の小麦制度はといえば、輸入小麦には、マークアップ(MA)と呼ばれる1kg当り17円の関税が付加されています。詳細は割愛するとして、この17円/kgをうどん1玉当りに換算すると約3円となります。よってもし小麦が自由化されると、単純に考えてとうどん玉は、現在より約3円程度下がることになります。

ただここで少し補足をすると、17円というMAは国産小麦の補助金に充当されています。狭小な農地が主体の日本は、どうしても耕作条件がアメリカや豪州と比較して劣るために、小麦の生産コストが高くつきます。これは北海道であっても例外ではありません。よって小麦農家に対する補助金がなくなれば、早晩国産小麦はなくなる運命にあります。補助金なしには、香川県の「さぬきの夢」も九州の「チクゴイズミ」も北海道の「きたほなみ」もなくなります。「どんなに高くても国産小麦を使用するよ」という支持層も存在するのは事実ですが、市場に及ぼす影響は限定的です。実際小麦市場を自由化した韓国では、国産小麦がほぼ消滅しました。

MAを廃止すると単純にうどん玉は3円程度安くなりますが、その代わり国産小麦はなくなります。「国産小麦維持のために一玉3円位なら負担を惜しまない」という意見がある一方、「とにかく安い方が良い」という方もいるでしょう。これはどちらが良い悪いの問題ではなくて、考え方の違いです。更には「それじゃあ、国産小麦を保護するために一般予算から補助金をだせばいいじゃないか」という意見もありますが、国家の借金が1,000兆円を超える今、それもなかなかハードルが高いようです。

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木下製粉株式会社 2015年1月29日


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