#435 網膜剥離後1年経過報告

f435#388でご報告いたしましたが、昨年右眼の網膜剥離を患い、人生初めての本格的入院生活を経験しました。紆余曲折はありましたが、無事10日間の入院を終え、また先日はめでたく一年点検を受診しました。先生曰く「今度は一年位したらまた見せてください」ということなので、経過観察は終了し、とりあえず完治ということになりました。ただ右眼の見え方には、まだ若干違和感が残っているので、今後更に改善することを期待するのみです。例によって備忘録を兼ねてまとめておきたいと思います。

網膜剥離は年間1~2万人に1人の割合で起こるそうです。坂出市の人口が現在5万5,000人なので、毎年5~6人の割合で発症していることになりますが、周りの人々に聞いた感触では、もっと頻繁に起きているようにも感じます。原因はよく分かりませんが、とにかく加齢とともに様々な障害がでてくることは、仕方ないことです。とはいっても小視症(小さく見える)、変視症(歪んで見える)、色覚異常(いつもより緑が濃く見える)、といった症状は、これまで経験したことがなく、特に視野が徐々に欠けてくる感覚は、劇場の帳が降りてくるようで、かなり戸惑いました。

手術自体は数十分で速やかに終了しましたが、その後9日間に及ぶうつぶせ状態(伏臥位)はかなり厳しい体験でした。剥がれた網膜を眼底に接着されるためには空気の浮力を利用しますが、このために眼内に空気を注入し、その空気の浮力で網膜を押し付けるため、うつぶせ状態を保持します。術後9日目に眼帯が取れ、初めて見えた世界は、黄色のすりガラスを通して見ているように霞み、変視症、小視症に加え、視界下方で大きな気泡が転がっている、かなり奇妙な光景でした。この気泡が、上方でなく下方にある理由は、網膜に写っている像が、上下反転して視神経で処理されるからです。その気泡はその後徐々に小さくなり、手術後11日目に消滅しました。

術後2週間の診断では、「網膜はくっついているので、スポーツもOK」との許可がでましたが、流石にテニスはやる気がおこりません。ボールがオムレツみたいに見えるし、それより何とも表現できない奇妙な遠近感では、ボールがまともに当たるとは思えません。右眼の像は、明らかに縦に圧縮されて小さく、そして歪んで見えます。テレビに写るどんな美人のお姉さんもピカソの絵画のように見え、「網膜はフィルムである」という事実がつくづく実感できました。網膜は一旦剥がれてしまうと、なかなか元の真っ平の状態にはならないので、普段とは違う見え方になるとのことでした。

術後1ヶ月を経過して、かなり見やすくはなった気はするものの、まだ両眼の像は、なかなか一致しません。2ヶ月経過して、テニスを再開しましたが、遠近感がうまく掴めず、ボレーもショットもうまくあたりませんでした。6ヶ月が経過すると、右眼の像はまだ歪んで小さく見えるものの、両眼のバランスはかなり改善(というか慣れて?)きました。9ヶ月検診では、先生の方から「大分良くなったでしょう」と仰ってくれました。そして今回1年が経過し、かなり元の状態に近づいてきました。

まだ右眼だけでみると少し歪んで見えるのですが、視力検査では、左眼よりも右眼の方が良く見えるのは、なんとも不思議です。何れにしても1年前の状況と比較すると、気分的にはかなり快適です。手足の骨折だと、完治した後も、痛みが完全になくなるまでには、かなりの時間が必要です。一方網膜剥離は、痛みがない代わりに、見え方が普通とかなり違うので、そこが大変です。見え方が元に戻るまでには(完全に元に戻るかどうかは別にして)、かなりの時間がかかるのかな、と思ったりします。一年が経過し日常生活においては、何一つ不自由なく過ごすことができるようになり、「つくづく現代に生まれてきてよかった」と思わずにはいられません。執刀医の先生を始め、関係各位の皆様にはこの場をお借りして、厚くお礼申し上げます。