#424 そば製粉工場見学@北海物産㈱

f424先日、そば製粉工場を見学する貴重な機会を得ましたので、ご報告いたします。場所は千葉県松戸市にある北海物産㈱松戸工場。社名からは、なかなか「そば製粉」をイメージできませんが、近代的なそば製粉工場で、びっくりしました。専門的な話で恐縮ですが、小麦製粉のロール製粉機といえば今やスイスのビューラー社が世界的な業界標準ですが、この松戸工場は平成9年にこのビューラー社によって設計されたオールビューラー製の工場で、このような工場は、小麦製粉工場でもなかなかお目にかかれません。3年前の東日本大震災にも耐え、毎日最高品質のそば粉を製粉しています。

私たちに馴染みの深い穀物といえば、玄米(玄米から表面の米ぬか部分を削りとると白米になります)、小麦、そして玄蕎麦(玄蕎麦から殻を取り除いたものがむき実です)などがあります。そしてこれらはそれぞれに特徴があるため加工方法も異なり、その加工方法の難易度は「小麦>玄蕎麦>玄米」の順番となります(多分)。それらを簡単に説明すると次のようになります(併せて断面図もご参照ください)。

玄米を覆っている米ぬか部分は軟らかいので、表面を軽く擦ってやると簡単に取り除くことが可能です。この米ぬか部分を取り除く工程を「精米」といい、五分搗きとか七分搗きというのは、表面の削り具合を指し、米ぬかを全て取り除いたものが白米です。精米工程そのものは比較的単純であるため、自動化が可能で、それが「コイン精米」という自動販売機になっています。米は精米直後から、風味の劣化が始まるために、普段は玄米の状態で保存し、少量ずつ精米するのがベストで、そのために地方ではコイン精米がビジネスとして成り立っています。

玄米、玄そば、小麦の断面図

玄米、玄そば、小麦の断面図

そばはむき実と言われる部分が、硬い殻によって被われていて、この両者を分離するのはそれ程難しくはありません。よって製粉工程において、下画像のようにむき実だけを取り分けることが可能です。そして一旦むき実になれば、あとはそれを、そば屋さんの好みに応じて、中心部分だけとか、むき実丸ごとといった具合に取り分けるわけです。

そば製粉の工程

そば製粉の工程

そばは「三たて(挽きたて・打ちたて・茹でたて)」と言われるように、挽きたてのそばが最高で、理想をいえば、各そば店で、前日に1日分だけを製粉するのがベストです。そば製粉は石臼でも製粉可能なので、お店によっては自分で製粉されるところもあります。しかし実際にやるとなれば時間的制約もあるし、なかなか大変なので、北海物産さんのようなそば製粉工場で挽いたそば粉を使用するところが主流になっています。

そば製粉と小麦製粉が大きく違う理由は、この表面を覆っている「殻」と「表皮(小麦ふすま)」の性質の違いにあります。小麦の表皮は、胚乳部分にこびりついているため剥がすのは容易ではなく、または胚乳部分は脆いため簡単に砕けてしまうので、そばのような「むき実」にするのは不可能です。よって小麦製粉では、段階式製粉方法という手法を用いて、小麦の粒を少しずつ小さくしながら、また表皮が混ざらないように、胚乳部分を取りだしています。

石臼ラインは圧巻でした!

石臼ラインは圧巻でした!

北海製粉さんには、ロール製粉機のラインだけでなく、石臼でのそば製粉ラインもありました。この小さな石臼が沢山ならんだ光景は圧巻で、ロール製粉機が実用化される以前の西洋の製粉工場は、こんな感じで製粉していたのかな、とふと考えたりしました。今回の蕎麦工場見学は、他の製粉会社の皆さんとの同窓会を兼ねて行いました。そしてついでにスカイツリー登頂も果たし、すっかりお上りさん気分を満喫して戻ってまいりました。眺望の素晴らしさもさることながら、あの高速エレベーターの速さにはびっくりしました。

スカイツリーで記念撮影!

スカイツリーで記念撮影!