#423 オートロック事件

突然ですが、新着情報担当者の労力軽減のために、今月より月一のペースで、イラスト担当者がこの欄を受け持つことになりました。以前も何度が登場したことがありますが(#236#239)、これからは定期的に登板予定(?)ですので、どうかよろしくお願いします。
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f423今月からここの枠を使わせてもらえることになったので、早5年目を迎える私(イラスト担当)の東京日記を綴ろうと思います。著名な作家さんのエッセイを読むのは大好きですが、いざ自分が書き手になると話は別です。いくら面白く書こうとしても嘘はつけないし語彙力も乏しいのです。だからそこは大目に見て頂いて、小麦の話ばかりで疲れたなあ、と思った時の頭休めに読んでいただければ幸いです。

先日の深夜二時ごろ猛烈な喉の渇きをおぼえ、けれども飲み物が尽きていたので買いに行こうと勢いよく部屋を飛び出しました。しかし玄関の扉が閉まった直後に、財布とスマホしか持っていないことに気付いたのです。もう少し詳細を話すと、第一扉(建物の玄関でこれがオートロック)と第二扉(これは自分の部屋の扉でオートロックではない)があり、第二扉の鍵をかけることなく、部屋の中に忘れたまま第一扉を出てきたという状態。つまり閉め出されたわけです。すぐさまアパートの管理会社へ電話しましたが同情されるだけで、駆けつけることはできないとのことでした。もういいです。と電話を切ったものの、さてどうしよう。明りが灯っている部屋が3つほど確認できました。だけど深夜2時…。次の日朝早かったのでどうしても寝たいと思い、非常識なやつだと思われる覚悟で、アパートの住人に開けてもらうことにしました。

で、ここからが問題。誰の部屋を鳴らすべきか。アパートは全部で6戸あるのですが、正直、面と向かって話したことのある人はほぼ居ません。引っ越した当初、挨拶に行かなかったことを居住3年目にして後悔した訳です。だけど最近は引っ越し挨拶をすることのほうが稀な様ですね。隣人と出くわさないように気をつけて生活を送っている、なんて話も聞きます。それでも3年も経つとうろ覚えながら少し見当はつくのです。こんな感じの人が多分この部屋に住んでいるんだろう、とか、いつも停めてあるこの車はあの人のだろう、とか。そこで明りの灯っているうちの1戸が一人暮らしの社会人女性だと踏んだ私は、そこをターゲットに決めたのです。しかしまたやっかいな問題が出てきて、その部屋番号が201か202か分からないのです。だって私自身は103に住んでるので、残りの部屋番号の配置なんて気にすることがないじゃないですか。

悩んでも解らない、だからそこは勘で201を鳴らしました。そしたら男性の声。ああ、しまった。これはきっとそのお隣さん(私が一人暮らしの若い社会人男性と踏んでいた人)だ…。「夜分に本当に申し訳ありません」と何度も謝り経緯を説明したら、かなり同情したような声で「ああ、オートロックですね。開けます。」と言ってくれました。これがほんとのヒーローです。世の中捨てたもんじゃないなと久しぶりに思った瞬間でした。

その後は無事に解錠され、自分の部屋に戻り就寝することができたのです。だけどよくよく考えたら、深夜2時にインターホン画面に映る半泣き姿の私は、さぞかし哀れだったんだろうなあ。その翌日、お礼に買ってきた焼菓子にメッセージカードを添えて、ちゃんと201のドアノブに吊るしました。カードには「昨日は助けていただき、本当にありがとうございました。」とだけ書きました。だけどほんとは「もしあなたがオートロックで閉め出されることがあったら、次は私が開けてあげるので心配しないでください。」なんて書きたかったです。みなさんもオートロックにはご用心。