#340 うどんテイスティング・・・酒に合ううどん

香川県内の「旅館組合」、「酒造組合」、そして「本場さぬきうどん協同組合」の3つの業界団体で組織する「うどんに合う酒を考える会」が、「酒に合ううどん」なるうどんを開発しました。酒に蕎麦なら話はわかりますが、うどんというのは聞いたこともなく、さすが「うどん県」だと思わずにはいられません。早い話、これは3つの業界がうどんを絡めたシナジー効果の創出といったところでしょうか。原材料は、「さぬきの夢」と香川県産うるち米「おいでまい」を85%:15%の割合で配合し、更に香川県高瀬町の緑茶粉末を1%添加。地産地消のオール香川農産物で臨みました。

新聞報道によれば、「『スキっとした食感と茶の風味』を味わうことができ、香川県知事も『これなら熱燗や冷やでもいける』と絶賛」とあります。しかしいくら説明を聞いたところで、やっぱり食べてみないことには、どんな味かはわかりません。諺にあるように「プリンの味は食べてみなければわからない」のです。で、そうこうするうちに、うまい具合に、事務局の方からサンプルをご提供いただき、社内でもうどんテイスティングをすることになりました。

約10分ゆでた後、ザルにうちあげ、お茶の薫りを感じながら、3人で試食しました。普通のうどんよりも「モッチリ感」が強調されているのは、紛れもなくうるち米の効果です。更に噛んだ後、口の中に拡がる少し苦み走った茶の風味も感じることができます。確かに美味しいし、特長も感じられます。ただこれが市場に受け入れられるかどうかは、市場に聞くしかありません。この「酒に合ううどん」をテイスティングしたら、先日の古代米うどん(#315)を思い出しました。両者とも種類は異なるものの、米粉を混ぜているので同じ路線のうどんです。

一般論として、稀に食べるのであれば個性が強くても問題ありませんが、毎日となると「素材の味」が前面に出過ぎると、「飽き」につながる可能性があります。いくら美味しい五目チャーハンでも週七日、日に三度となると飽きてしまいます。主食は仄かな旨みがないと食べてもらえないし、その旨みが強すぎると飽きられてしまいます。お米もうどんも毎日食べることができるのは、素材そのものの控えめな旨みが絶妙なバランスで保たれているからだと思います。

これまで先人達が、梅、しそ、ごま、人参、モロヘイヤ、わかめ、イカスミ、お茶・・・っと、ありとあらゆる食材を練り込み、次世代うどんの開発に挑戦しました。しかし少なくともこれまでのところ、結果を見る限り、小麦粉だけのうどんを凌駕したものがあるとは思えません。で、再び今回の「酒に合ううどん」。屁理屈を捏ねるようですが、米粉は「素材」のひとつなので、他の食材とは少し異なります。つまり米粉入りうどんは、「主食×主食」なので、毎日飽きることなく食べることができそうです。この「酒に合ううどん」が3つの業界の更なる発展に寄与できることを願って止みません。

2012年7月26日地元紙より

2012年7月26日地元紙より