#209 小麦の硬さと製粉適性、そして「さぬきの夢2000」後継品種との関係

小麦の分類方法はいくつもあります。例えば種を播いて次の夏に収穫するタイプを「冬小麦(winter wheat)」といい、春に播いて秋に収穫するタイプを「春小麦(Spring Wheat)」といいます。これは種を播く時期で分類しているわけですが、実際は小麦の粒そのものについての分類が多くあります。以下代表的なものを、ご紹介します。

①赤小麦と白小麦 
小麦の皮に赤もしくは赤褐色系統の色素をもつ品種を「赤小麦」といい、この色素がない小麦を「白小麦」といいます。まあ実際は赤小麦は、黒っぽいというか褐色に見え、白小麦は黄色っぽく見えますが、小麦の色については、慣習的に「赤」もしくは「白」と相場は決まっています。

②硬質小麦と軟質小麦 
粒が硬い小麦を「硬質小麦(hard wheat)」、軟らかいものを「軟質小麦(soft wheat)」といい、その間のものを「中間質小麦」といいます。一般的な傾向として、粒が硬いほどタンパク質が多く含まれます。よってパン用には、よく膨れるようにタンパク質の多い硬質小麦、逆にカステラやケーキのように「ふわふわ感」をだしたいときには、タンパク質の少ない「軟質小麦」が使用されます。またさぬきうどんなど麺用にはその間の「中間質小麦」が適しています。ただうどんについては、小麦に一番多く含まれるでんぷん質(70%程度)も食感や味に大きく影響するので、小麦を全体的に評価する必要があります。

③硝子質(しょうししつ)と粉状質(ふんじょうしつ
小麦を横にカットしたその断面が、半透明に見えるものを「硝子質粒」、また白っぽくて不透明のものを「粉状質粒」といいます。一般に硝子質の小麦は硬く、よって高タンパクになる傾向があります。

以上の3つの形質には、かなりの相関があって、一般には「赤小麦≒硬質小麦≒硝子質粒≒高タンパク質」という関係が成り立ちます。しかし当然例外もあり、日本はすべて赤小麦であるのに、そのほとんどは粉状質の軟質小麦です。逆にオーストラリアは全て白小麦であるのに、硝子質状の硬質小麦、っと日本の反対です。

では硝子質小麦と粉状質小麦では、どちらが製粉適性が良いか考えてみると。前者は、硬いので割るのに余分な力が必要ですが、割ったあとはあまり小さくならないので、良質のセモリナが沢山とれます(#208参照)。つまり製粉性は良いといえます。反対に後者は、脆いので直ぐに粉々になりやすく、セモリナは少なくなります。じゃあ少なくなった分はどこにいったかといえば、最初の一撃(1B工程)で粉々になってしまうので、1B、2Bの上がり粉が増えることになります。でもこの段階の小麦粉は小麦表面のちり、ほこりなどと混ざり合う可能性があるので、最高であるとはいえません。

っで、香育20号と香育21号を比較すると、前者の方がセモリナが多くとれます。つまり20号は硝子質小麦の特徴を示し、製粉性は良好ですが、日本の小麦らしからぬ小麦ということです。一方、後者は粉状質でいかにも国産っという感じがします。また粉状質小麦は細かくなりやすいので、ふるいの抜けが悪く、よって製粉中に詰まりやすく、製粉しづらい欠点があります。けれど手間がかかるから余計愛おしいのか、逆にそれが国産らしい小麦ともいえます。