#200 食パン1人前に使用される小麦粉

量販店の冷陳ケースに並んでいる袋入りのゆでうどんは200gと相場が決まっています。これ1袋でお腹が起きる(標準語では「お腹が膨れる」といいます)とは思えませんが、これが一人前の基準になっているようです。小麦粉はうどんになると約3倍の重さになるので、これよりうどん一人前の小麦粉換算量は約70gということになります。では食パンの1人前はいくらが標準なのか、少しあたってみましたが、今ひとつピンとくるものがありません。
そこで某パン屋さん(S社)のお客様相談室に尋ねたところ、快く答えてくれました。かいつまんで言うと:

①1人前の標準重量に特に決まりはない。
②S社の代表的な銘柄「超熟食パン」1斤の重さは約370g(小麦粉換算で約240g)。
③よって6枚スライスだと1枚は60g(小麦粉換算で40g)。

あっさりと「1人前として特に決まりはない」との回答には、ちょっとこけそうになりました。ただ1枚を1人前と言うにはあまりに淋しいので、2枚とすると120gでこれは小麦粉換算で80gになります。よってまあこの辺りが平均的なところで、パンや麺などの小麦粉製品の1人前は小麦粉換算では70~80gあたりじゃないかと考えます。

ところで食パンには独特の単位「斤(きん)」があります。元々この「斤」は重量の単位で、1斤=160匁(もんめ)=160×3.75g=600gとなりますが、パンの1斤は、かなりアバウトで日本パン工業会の規約によると「1斤は340g以上」という表現しかありません。つまりパンの1斤は、実際の1斤の重さの半分くらいしかないのです。この「1斤の重さ」と「パンの1斤」のあまりの違いにはびっくりですが、これを聞いてこの前うどん屋のおっちゃんが言ったことを思い出しました。

おっちゃん曰く「昔はなぁ、うどんの1人前は100匁(=375g)と相場は決まっとったんやで。しかしなぁ原料はなんぼでも上がるし、かといってスーパーは値上げさせてくれんのや。ほんでな、だんだんと玉が小そうなっていったんや」っと。真偽の程は知りませんが、とっても説得力のある説明でした。だから食パンも似たような事情で小さくなってきたのかも知れません。

後、小麦粉はパンの状態になると、重量がどう変化するかというと、S社の場合、小麦粉240g→食パン370gなので重量比で154%になります。またホームベーカリーで試したところ小麦粉280g→食パン440g(157%)でした。もちろん食パンには小麦粉以外にも塩、砂糖、バターなどの原料も使用しますが、食パンになったら元の小麦粉は約1.5倍の重さになります。一方うどんの場合はというと、ゆでうどんの状態で3倍になりますが、こちらはかなり水膨れしているからです。