#175 うどんはゆでるとどのくらい重くなるか?

うどんはゆでると水分を吸収してどんどん膨れ、そして重くなります。どのくらい重くなるかは、元のうどんの形態、つまり「乾燥うどん」、「半生うどん」、「生うどん」などによって異なります(うどんの種類については「#092製造方法の違いによるうどんの種類」をご参照ください)。そこで簡単におさらいしておくと次のようになります。

【乾麺】 
乾燥うどん100gをゆでると、少々硬めだと約260g、普通だと約300gになります。同じうどんでも細い方が、当然早くゆであがり、また表面積が大きい分重くなります。そうめんになると重量あたりの表面積が大きくなるので、それだけ水を吸収しやすく、優に300gを越えてしまいます。このように麺の太さによってバラツキはあるものの、乾麺はゆでると大体3倍の重さになります。
では、一人前はいくらかというと、スーパーで売っているうどん玉は200g(これでお腹一杯になるとは到底思えませんが)なのでこれを基準にすると、乾麺は約70gということになります。

【半生うどん】
小麦粉と塩水を練り合わせて作ったうどん、つまり生うどんの水分はおよそ40%です。半生うどんはこれから徐々に水分を抜いてやり、最終的には24~28%までに落としてやります。そしてこの「半生うどん」を100gゆでると約240gになります。
余談ですが、この範疇のうどんができた背景には、生うどんの食感を残しつつ、尚かつ保存期間も延ばしたいという欲張った発想があったと思います。だから作るのに結構手間暇かかっても「半生うどん」が認知されたのかもしれません。ただ独断ですが、乾燥うどんに比べると水分はずっと高いので、賞味期限内であってもできるだけ早く食べるのが美味しいと思っています。

【生うどん】
生うどんは100gゆでると約2倍になります。腹が減ってると、「このくらいは大丈~V!♪♪」と思いつつ、ゆでた後で多すぎて持て余した経験は誰にでもあると思います。そういう轍を踏まないためにも、「ゆでると乾麺は3倍、生麺は2倍になる」と憶えておきましょう。

ところで前置きが長くなりましたが、今回のポイントは同じ「生うどん」でもゆで時間を長くするとどのくらい重くなるのか興味があったの試してみました。手打ちうどんなので、太さはまちまち、また大きさの違う2つの鍋を使ったり、公正さには欠けますが、まあ大体の傾向をみるためにやりました。一般にゆで時間は13~15分なので、それを中心にゆで時間を設定。100gをゆでた結果は次の通りになりました。

ゆで時間 10分 13分 16分 19分
ゆで後の重量
189g
196g
208g
215g
10分後を基準
100%
104%
110%
114%

 

ゆで始めて13分を経過すると元の2倍になるので、この辺りが一つの目安かな、っと。時に、「ゆでるのに時間がかかり過ぎる」とか「なんぼゆでても硬いんやけど」と聞かれることがありますが、これは水が充分に生地内部に浸透しないからだと考えられます。ということは、生地を練りすぎたり、踏みすぎたりして硬くなりすぎたのが原因かも知れません。「水回し」、「練り」、このあたりがうどんの出来不出来に一番影響しそうな気がしますので、どうかお気をつけください
また結果をみてお気づきだと思いますが、ゆで時間を延ばせば、うどんは水膨れしてちょっとした加減で一割程度は重くなります。つまりうどん屋さんが、収量を上げようとすれば、ゆで時間を長くするのがもっとも手っ取り早い方法で、多少の燃料費は増えるものの、簡単にコストダウンがはかれます。しかしゆですぎるとうどんが「ふにゃふにゃ」になって結局は「人気↓ → 販売↓ → 利益↓」となるので、そうそう巧い話はないですね、きっと。