#160 今時の小麦製粉③・・・小麦の調質

夾雑物が取り除かれ、またきれいに磨かれた小麦は、そのまま製粉工程に進むわけではありません。その前に調質工程(ちょうしつ)が待っています。調質とは、小麦に水を加え、寝かしてやることを言います。通常小麦には9~13%の水分が含まれていて、これに加水することによって、15~16%程度にまで上げ、この状態で24~36時間置いてやります。この調質工程は、製粉工場の中で唯一小麦の物理的また化学的性質を変えることのできる工程です。

調質の重要性は次のように考えるとよく理解できます。少し大げさに表現しますが、何も加工していない小麦を、金づちで叩くとどうなるか想像してみてください。小麦は乾燥して硬いので、小麦の破片があたりに飛び散ります。つまりこのままの状態で、ロールを通過すると表皮も胚乳も細切れになってしまい、その後の工程で両者の分離が難しくなります。

一方、小麦に水を加えて放置しておくと、水分がだんだんと中心部分に浸透し、全体がしっとりとしてきます。その結果、胚乳部は柔らかくなって粉砕されやすくなり、また逆に表皮は引き締まって強くなります。今度は同じように金づちで叩いても「ぐにゃ」っとなって、細かく飛び散ることはありません。つまり表皮が混入せずに、胚乳部だけが取り出しやすくなるわけです。このように調質の目的は、表皮を壊さずに中の胚乳部分だけを取り出しやすいように、小麦の状態を調整することです。

下は、調質前と後の小麦です。どちらがどっちがわかりますか?目をこらしてみると、左の方が水分を吸収して、膨らんでいるのがわかります(?)。

下は、調質前と後の小麦です。どちらがどっちがわかりますか?目をこらしてみると、左の方が水分を吸収して、膨らんでいるのがわかります(?)。