#141  小麦粉の袋はなんで25kgなのか?

一般の方には馴染みがありませんが、業務用の小麦粉は25kgの袋に入っています。セメント、塩、コーンスターチといった商品も大袋は25kg入なので、このあたりが業界を問わず標準サイズかもしれません。でも、25kgって結構ずっしりと重いし、女性ではなかなか持ち上がりません。小麦粉は70~80gが一人前なので、スーパーで売っている200gのうどん玉なら、25kg大袋からざっと300玉とれる計算になります。

そんなでかい袋は、うどん屋さん専用かというとそうでもなく、愛好家でありながらひと月足らずで使い切る猛者もいます。製麺機があれば造作ないことですが、25kgを全て手作りで消費するのは、かなりの気合いというか情熱が必要です。

思うにうどん屋さんは、規模が大きくなるに連れ機械に頼らざるを得なくなり、結果として小麦粉に直に触れる機会が減ります。逆に愛好家はすべてを作業でおこなうため、小麦粉の違いをもっとも敏感に感じとれるのは、こういった個人の方々かも知れません。

ところでこの大袋、大昔の昭和30年後半頃までは22kg袋を採用していました。この中途半端な数字はどこからきたかというと、その昔英国では最初バーレル樽(196ポンド)を使っていたのが、後に49ポンド入り4袋になり、日本ではポンドを使用していないので、その近似数として5貫900匁が採用されました(っとどこかに書いてあった)。

余談ですが、文明の最先端を行くアメリカにおいて、いまだにマイル、ヤード、ポンド、オンスといった単位が使用され続けているとは信じられません。話は戻って、1ポンド=453.6g、1貫目=3.75kgなので、49ポンド=22.2kg、5貫900匁=22.1kgとなり、両者はほぼ同じになり、以上が1袋22kgに至った大まかな経緯です。

でもこの22kgのままではしっくりこないというので、その後25kgに移行しました。このとき選択肢としては20kgもあったはずですが、物不足の時代でもあったので、より大きな袋が選択されたようです。つまり、袋を大きくするとそれだけ、紙資源が節約できるし、10袋運ぶところが9袋ですむので、高度成長時代には「大きいことは良いことだ」方式が採用されました。

時代は変わり、あれから40年以上が経過した現在、この25kgは流石に重いと感じる方もいます。また国際価格の高騰により、国内での小麦販売価格も昨年来3度、累計では50%以上値上げされ、個人で25kgを購入するには、量的にも、また価格的にも不便になりつつあると感じています。そこで個人用に限り、今月より大袋を25kg→20kgに変更しました。尚、小麦価格上昇に併せ小麦粉価格も改定させていただきましたので、心苦しいお願いですがどうかよろしくお願いいたします。