#093 製造方法によるうどんの味の違い

新着情報#92では製造方法の違いにより、うどんを分類してみました。で、今回は独断でそれぞれのうどんの味について考えてみます。もし、どれかのうどんが圧倒的においしいのであれば、それしか売れないはずですが、実際はそれぞれ一長一短があり、棲み分けができています。

(1)チルド麺
家庭用でもっとも売れているのは、なんといってもチルド麺(ゆでうどん)です。ただ便利な反面、ゆでてから時間が経っているので、コシがないという人もいます。でも、よく探せばそこそこおいしいうどんも見つかります。というか、個人的には、ばりばりのコシだけのうどんよりも、ゆで置きでちょっとソフトでも、小麦粉でんぷんの旨みが感じられるうどんの方がずっと好きです。だからチルド麺はそんなにすてたもんじゃないと思います。
(2)冷凍うどん
冷凍うどんの特徴は、その原材料にキャッサバという植物の根茎からとれた「タピオカでんぷん」を使用していることです。タピオカでんぷんを副原料に使用することで、小麦粉だけで作ったうどんよりも、うまく冷凍できて、解凍したときの状態もいいので(つまり冷凍保存性がよい)、タピオカでんぷんが使用されるようになりました。また、その副産物として、コシの強さがあります。つまり小麦粉にタピオカでんぷんを混ぜることによって、タピオカ特有の「ぐにゅぐにゅ感(もしくはもちもち感)」がうどんにでてきます。

でも、タピオカでんぷんがあまり入り過ぎると、小麦でんぷんの味がそれだけ薄まるので、味そのものについては評価の分かれるところです。しかし、いずれにしても発売以来ずっと右肩上がりで伸び続けているので、人気のあるうどんには違いありません。

さて、ここからは、乾麺、生うどん、そして半生うどんをまとめて重点的に考えてみたいと思います。一般に味については、「生うどん>半生>乾燥うどん」と感じている方もいるようですが、うどんにはそれぞれ特徴があるので、「生うどん≒半生≒乾燥うどん」であると思っています。つまり、それぞれのうどんには、独自のおいしさがあります(もちろん個々の出来不出来はありますけど)。よってここでは、それぞれの特徴である食感に焦点を絞って比較してみます。

(3)乾麺
切刃(新着情報#69)を使用しているので、角がある程度とれてしまうのは、仕方ありません。一度乾燥させ、水分を14%程度にまで落としているので、ゆでるとコシコシ(シコシコ?)とした食感になります。乾燥うどんの賞味期限は一応1年ということになっていますが、これを過ぎても別に問題はありません。ただ、長期間経過すると、麺が締まり、ゆでた麺が硬くなる傾向にはあります。そうめんでは、古いものを古物(ひねもの)といい重宝されますが、これはコシコシ感が増して、歯切れが良くなるからです。好みの問題もありますが、一般には、太物は早く、細物はある程度時間が経ったものでも好まれるようです。

(4)生うどん
「うどん屋さんのうどんに一番近いもの」となると、やぱっり生うどんになります。上手につくった生うどんなら、「そんじょそこらのうどん屋さんよりもずっとおいしい」という人もいます。欠点は、生うどんは水分活性が高いので、保存が難しく、完全密閉で冷蔵保存しても、おいしく食べられる期間(品質保持期限)は一週間程度くらいということかな。それ以上保存性を高めようとすると、添加物など余計なものが必要になり、味にも影響してくるようになります。つまり、うどんも鮮度が重要です。

(5)半生うどん
半生うどんの水分は、22~23%程度で、完全密閉すれば、常温で2ヶ月の保存は可能です。そもそも半生うどんのコンセプトは、「生うどんに近い食感」と「保存期間の延長」という異なる特徴を無理やり両立させることにあります。ですから生うどんに比べると、長期保存は可能であっても、水分が22%含まれているため時間の経過による、ある程度の味の劣化は避けられません。また、どんなにうまく作っても、生うどんにくらべると水分が低いので、多少硬くゆであがるのは仕方ないところです。

ということで、この3種のうどんを独断でまとめると:
味についてはそれぞれ特徴があるので、「生うどん≒半生≒乾燥うどん」。でも、時間による味の劣化スピードは、「生うどん>半生>乾燥うどん」となります。つまり、生ものほど早く食べましょうということになります。