#074 玄米のススメ・・・その1

2月10日に「穀物粉体食品研究会第3回講演会」がありました。昨年の様子は新着情報#34をどうぞ。穀物粉体といっても、その主たる目的は「玄米の効用をみなさんに理解していただくこと、及びその消費拡大」にあります。お米は小麦と並ぶ(順序が逆か?)主要穀物で、製粉会社にとってみれば、いわば宿命のライバルですが、ここは大らかに、是々非々で対応していきたいと思います。

今回、出色のスピーカーはなんといっても、S医院のS先生(目次↓をみてね)。ご自身の体験を基に、玄米の効用をわかり易く説明してくれました。最初、S先生が登壇されたき、血色はそんなに良くは見えず、ぼそぼそ喋るので、「こんなんで、先生、大丈夫なんやろか?」と感じたのも束の間、その説得力のある内容に感じ入り、みなさんにご報告したくなりました。話の要旨は簡単に言うと次の2つ:

  • 食生活の観点、特に血糖値に着目すると、玄米は白米に比べ、圧倒的に優れている。

  • しかし、悲しいかな玄米はメジャーにはなれない。

以下、講演の内容に沿って、簡単にまとめてみました。しかし、いかんせん専門外のことですので、内容に誤り等あればご容赦ください。ここでは大まかな雰囲気だけでも感じとってもらえれば、と考えます。

(1)血糖値を一定に保つメカニズム
私たちの血液中の血糖値は、普段正常に保たれていますが、食事をとるとだんだんと血糖値が上がります。すると、それを下げるためにすい臓からインスリンが分泌されます。健常者であれば、食後速やかに適量のインスリンが分泌され、血糖値はほどなく平常値にもどるので全く問題はありません。しかし、なんらかの理由で、インスリンの調節機能がうまく働かなくなると、インスリンがうまく分泌されなくなります。すると血糖値が上がったままの状態となり、これがいまや国民病と言われている糖尿病です。

(2)過血糖後低血糖(かけっとうごていけっとう)
で、高齢になり臓器が老朽化したり、また若くても不幸にして糖尿病予備軍になったりすると、このあたりの調整がスムーズにできなくなり、ついつい食後のインスリンがですぎてしまうことがあります。すると、今度はインスリンが効き過ぎて、逆に血糖値が基準値以下となり、この状態のことを「過血糖後の低血糖(下図参照)」といいます。自動車も、新車だと軽くアクセルを踏むだけで、なめらかに発進しますが、古くなると、色々なところにがたが来て、ついつい吹かしてしまうのと同じです。

でも、「別に少しぐらいインスリンが多くでたっていいじゃないか」と思う方もいるでしょう。でもね、不必要にで過ぎるのは、いいことではなくて、これがすい臓の機能低下にもつながり、肉体の寿命が尽きる前にすい臓がだめになるのです。そうなると、血糖値が高値安定になり、りっぱな糖尿病患者になります。だから、正しく、適性にインスリンを分泌するということは、当たり前のことですけど、とっても重要なことなんです。

それにもっと怖いことには、インスリン過剰分泌による低血糖になると、直接的な弊害として、手の震え、頭痛、だるさ、発汗など様々な弊害がおきます。S先生は、極端な思考の低下が起きて、簡単な「5+7=?」みたいな足し算ができなくなる、つまり何も考えられないトランス状態になると言っていました。このあたり、ご自身の体験談だけに、とっても説得力があり、聞いている方が怖くなってびびってしまいます。

(3)玄米食の利点
で、S先生は続けます。「白米を玄米食に変えたら、食後の血糖値上昇が抑制され、よってインスリン発生量も、白米のそれに比べて減り、これによって「過血糖後低血糖」の症状に悩まされることもなくなった」、と(なるほど、安心した)。正確には、何十人かの患者さんについても同様の玄米食を実践してもらい、食後一時間後のインスリン発生量は比較したところ、「玄米食」の場合のインスリン発生量は、「白米食」のそれの57%にしか過ぎなかったと報告されています。これは統計的にみても極めて有意で、早い話「玄米食」はインスリンの抑制にかなり効果があるということになります。

また話が前後しますが、S先生は玄米食については、次のような利点も指摘します。白米をたくさん食べて、インスリンが過剰に分泌されると、それを打ち消すために、今度はアドレナリンが分泌されます。ところが、アドレナリンというホルモンはそもそも闘争本能を助長させるので、普段の生活にはあまり必要ではない。スポーツでは、早く走れたり、ゴルフボールがよく飛んだりしていいけれども、興奮するのでそもそも勉強には向かないし、総じて日常生活にはあまり必要ではない。だから、それらを考慮すると、白米よりも玄米を食べる方が、私たちの生活にとってはずっといいはずだだから、最近切れやすくなっている子供たちも、玄米食を実践させれば、メロウになって、そんなことなくなるぜ、と。