#049 「さぬきうどん公認店」

香川県のウェブサイトには「知事メール」なるものがあります。これは県民の熱き思いをストレートに知事に届けるというものです。先日、その中に次のような提案がありました。

(提案)「さぬきうどん」は近年、全国に知られるようになった。この際ブランドイメージを維持するためにも、「さぬきうどん」と認められるものには、「さぬきうどん公認店」として香川県が公認したらいかがですか?

この提言をみたとき、素直に無理だろうなと感じました。というのは、仮にも公的機関である香川県が、うどん店を公認するということは、選別することであり、ひいては差別することにつながるからです。当然、香川県の回答としても、「さぬきうどんの定義が明確でないので、難しいと思います」というわかったようなわからないような、典型的なお役所答弁になっています。

ただ個人的には、また一利用者としては、そのような認証店があれば、便利でいいと思います。だって、初めての店でも、認証店であれば安心して入れるし、「味もそこそこいいんじゃないの」と思ってしまうでしょ。でもね、誰がどう決めるかしらんけど、認証店の中だって「あたり」の店もあれば、「はずれ」の店もあります。また、認証されなかった店の中にも多分、「あたり」と「はずれ」があるでしょう。やっかいなのは、この「あたり」と「はずれ」は各人によって違うことです。

だから少なくとも公的機関である香川県がこのような認証をするのは、色んな意味でビミョーな問題をはらんでいます。タウン誌などの一民間企業が、このような認証をするのは仕方ないと思いますが、少なくとも責任ある立場の公的機関が、このような認証を、それも区別が明確でないものを、尚更するべきではないと考えます。

ところがね、香川県のサイトの付近を色々みていたら、「さぬきうどん百店満点」というコーナーがありました。ここでは800店余りあるさぬきうどん店の中から100店を選んで紹介してあります。で、ここで引っかかるのは、運営サイトが社団法人、つまり公的機関であることです(民間ならなんとも思いません)。つまり表現の違いがあるにせよ、次の二つは本質的には同じことです。

「800店の中から100店を選ぶ」 = 「さぬきうどん店を公認する」
だから、一方で「100店を選んでおいて」、片方で「うどん店を公認しない」というのは、筋が通らない(と感じます)。実際に100店の中にも、「おやっ」と思う店があるだろうし、選考に漏れた中にもおいしいお店はたくさんあります。特に、101番目の店は、辛い思いをしているかも知れません。また問題はそれだけでは、ありません。繰り返しになりますが、うどん店の評価は、主観的であるゆえ、100店の選出といってもスンナリとはいきません。でも、万が一はっきり順位がついても、公的機関は公表をするべきではないと思います。

また香川県には「さぬきの夢2000認証店」という、「さぬきの夢2000」小麦粉を100%使用したうどんだけを提供するうどん店があります。これは一応希望者(店)は手を挙げて、その中から選考基準にのっとり、選定されます。また、選ばれたお店も、それなりにある程度は自分を犠牲にして、「さぬきの夢2000」にコミットする必要があるので、一般県民にとってもそれ程、抵抗はないと思います。まあ、このあたりの違いというのも、曖昧なので、人によって色々意見は違うでしょう。人によっては「さぬきうどん公認店」、「さぬきうどん百店満点」、「さぬきの夢2000認証店」のうち、どれならいいのかというのは、かなり考えにずれがあるやも知れません。だから、このあたりのことをもう一度、キチンと再整理する必要があるかもしれんね。

あぁ、そうそう、新着情報 vol.48 で提案した「さぬきうどん課」だって、当然意見がわかれるでしょうね。しかしね、お返事いただいたところはともかく、提案しても梨のつぶてでは、ほんま、がっくりきますわ。行政ももう少し、巷の声に耳を傾けてほしい、というか誠実に対応してほしいです。この手のまじめな話は、性に合わないし、またやっても暗くなるばかりなので、今回きりで最後にしたいと思います。